世界初の超高剛性2軸延伸ポリプロピレンシートの開発に成功:材料技術
エフピコは、世界初の技術となる賦形性に優れた150〜300μmの超高剛性2軸延伸ポリプロピレンシートとこのシートを熱融着した1〜3mmの厚さの積層OPPシートの開発に成功したと発表した。
エフピコは2024年4月30日、世界初の技術となる賦形性に優れた150〜300μmの超高剛性2軸延伸ポリプロピレンシート(以下、新OPPシート)とこのシートを熱融着した1〜3mmの厚さの積層OPPシート(以下、新OPP積層シート)の開発に成功したと発表した。同社の調べによれば、こういった新OPPシートの開発に成功したのは同社が世界初だという。
今後同社は、これらの技術と製品を活用し食品容器の開発を行う他、モビリティ、住設関連など幅広い用途への展開を目指す。なお、一般的に2軸延伸PPフィルムは主に食品用軟包装資材用途として厚さ30〜50μmで使用されている。
2027年に新OPPシートの生産開始予定
同社は、賦形性を保持する2軸延伸プラスチックシート製造の独自技術をベースに、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシート(OPET)の製造と成形品の開発に2012年に世界で初めて成功した(同社調べ)。このOPETの開発で培ったノウハウとPETリサイクル技術を組み合わせて、透明性と耐熱性に優れたエコOPETも販売している。
今回、同社はこの2軸延伸技術をさらに発展させた新OPPシートの開発に成功した。新OPPシートは、150〜300μmの厚さに対応し、透明性、耐熱性、耐寒性、耐油性に優れている。極低温から高温まで幅広い温度域で高い剛性と耐衝撃性も発現する。これらの特徴を生かして、これまでにない食品容器の開発が可能となることに加え、さまざまな産業で使える可能性がある。
例えば、射出成形品に新OPPシートを貼り合わせることで、射出成形品自体の強度を向上し、結果としてプラスチック使用量の削減や成形品の軽量化に貢献する。また、従来のPPシートよりも高い透明性が得られることから、印刷による加飾が可能となり、塗装工程の省略にも貢献できる。
同社は新OPPシートを熱融着し1〜3mm程度の積層シートにする技術の開発にも成功している。この新OPP積層シートは、高い剛性と耐衝撃性、高靱性を有し、従来のPPシートより高い透明性を保持していることから加飾性に優れる。アルミ並みの線膨張係数も持っており、鉄鋼板、アルミ鋼板、繊維強化プラスチック(FRP)、ポリカーボネートシート、C炭素繊維複合材料(FRP)の一部代替品として使える。これにより、モビリティや住設関連などの幅広い分野で応用できる可能性がある。
新OPPシートと新OPP積層シートは、リサイクルしやすいPPが主素材なため、塗装工程を省くことで揮発性有機化合物(VOC)規制にも対応できる。
両製品に関しては既に、自動車や住設、太陽電池、物流資材などの幅広い産業分野で評価されており、こういった状況を踏まえて、同社は2027年にこの新OPPシートの生産開始を目指して新工場の設計を進めている。
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