DNPがプラスチック部分を100%リサイクル材にしたICカードを発売:リサイクルニュース
大日本印刷(DNP)は、循環型社会の実現に向けて、非接触対応ICクレジットカードのプラスチック部分全体をリサイクルPVC(ポリ塩化ビニール)で製造することを実現し、同製品の販売を2024年4月に開始すると発表した。
大日本印刷(DNP)は2024年4月17日、循環型社会の実現に向けて、非接触対応ICクレジットカードのプラスチック部分全体をリサイクルPVC(ポリ塩化ビニール)で製造することを実現し、同製品の販売を同月に開始すると発表した。価格はリサイクルPVCを利用しない従来のカードと比較して5〜10%高くなる見通しだ。
カード1枚あたり約19.5gのCO2排出量を削減
同製品は、非接触対応ICクレジットカードのプラスチック部分が全てリサイクルPVCで製造されたものだ。DNPは、カード用のリサイクルPVCを提供するサプライヤーと連携し、パッケージ工場で排出されるPVCの廃材/中間材を回収して加工したリサイクル材を使ってカードを製造している。
これまでプラスチック部分を全てリサイクル材で製造することは材料の特性上困難だったが、今回ICカードの設計に工夫を施すことによって、プラスチック部分を全てリサイクル材に置き換えることを実現した。
また、DNPは同社製品のカーボンフットプリントを算定/検証するシステムに関してサステナブル経営推進機構の「SuMPO/第三者認証型カーボンフットプリント包括算定制度」の認証を取得した。2024年4月からICカード/ビジネスフォームを含む「証券印刷物」にあたる今回の製品でも、信頼性の高いカーボンフットプリントデータの提供が可能になった。
加えて、カード基材にリサイクルPVCを100%使用することで、DNPが製造したリサイクルPVCを使用しない従来品と比べ、原材料調達から製造、輸送、廃棄までのライフサイクル全体でカード1枚当たり約19.5gのCO2排出量を削減する効果がある。さらに、同製品はカード基材としてクレジットカード大手であるVISAの認定を取得している。
今後DNPは、環境負荷の低減や循環型社会の実現に取り組む金融機関の他、電子マネーカードやポイントカード、会員証などを発行する事業者などに同製品を提供していく。さらに、カーボンフットプリントや植林、森林保護などの取り組みを通じて企業活動で排出されるCO2を直接/間接に吸収するカーボンオフセットと組み合わせて同製品を提供する。これらの取り組みにより、DNPは環境配慮型のICカード関連で2028年度までに累計約400億円の売上高を目指す。
プラスチック部分全体をリサイクル材にしたICカードの開発背景
DNPは、国内製造シェアでトップを獲得しているICカードについて、環境に配慮した原材料の使用などを進めており、その一環で2021年にはリサイクルPVCを一部に使用した非接触対応ICクレジットカードの製造を開始した。
PVCは世界的に最も一般的に使われているカード基材であり、リサイクルPVCのCO2排出量削減効果も比較的高いため、今回、リサイクル材の使用比率を極限まで高めた非接触対応ICクレジットカードを環境に配慮した製品のラインアップに追加した。
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