DNPが3nm相当のEUVリソグラフィ向けフォトマスクを開発:材料技術
大日本印刷は、3nmに相当する、極端紫外線リソグラフィ向けのフォトマスク製造プロセスを開発した。2024年下期には、マルチ電子ビームマスク描画装置を増設し、稼働を開始する見込みだ。
大日本印刷は2023年12月12日、3nm(ナノメートル)に相当する、極端紫外線(Extreme Ultra-Violet:EUV)リソグラフィ向けのフォトマスク製造プロセスを開発したと発表した。
同社は、約26万本の電子ビームの照射が可能なマルチ電子ビームマスク描画装置を活用し、2020年に5nmプロセス相当のフォトマスク製造に成功している。今回、回路線幅の微細化に対応するため、製造プロセスを改善。3nm相当のEUVフォトマスクに必要な複雑な曲線パターン構造に合わせた加工条件やデータ補正技術を最適化した。
2024年下期には、マルチ電子ビームマスク描画装置を増設して稼働を開始する計画だ。半導体メーカーや半導体開発コンソーシアム、製造装置メーカーなどへフォトマスクを提供する他、EUVリソグラフィの周辺技術開発も支援し、2030年に年間100億円の売り上げを目指す。
フォトマスクは半導体の微細な回路パターンの製造用原版で、ロジック半導体の高性能化に伴い、回路線幅の微細化が求められている。EUVリソグラフィは、波長が13.5nmのEUVを光源とすることで、数nmの回路パターンを形成できる。
同社は今後、ベルギーの半導体研究開発機関imec(Interuniversity Microelectronics Centre)と共同で次世代EUV露光装置向けフォトマスクの開発を進める。imecなどのパートナーとともに、2nm以降のプロセス開発にも取り組む考えだ。
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