DNPが高機能光学フィルムの広幅コーティング装置を増設、最大2500mm幅に対応:工場ニュース
大日本印刷は、大型化が進むテレビ向けの光学機能性フィルムの製造に最適な最大2500mm幅に対応可能なコーティング装置を新たに三原工場(広島県)に導入する。
大日本印刷(DNP)は2023年6月13日、大型化が進むテレビ向けの光学機能性フィルムの製造に最適な最大2500mm幅に対応可能なコーティング装置を新たに三原工場(広島県)に導入すると発表した。
2つ目のラインとして2500mm幅対応のコーティング装置を導入し、生産能力は面積ベースで従来と比較して15%以上向上する。これにより、65インチ(横1436.4×縦809.0mm)の大型テレビ向けのフィルムの生産力を高める。先行投資によって、拡大が見込まれる大型ディスプレイ向けの光学フィルムの需要に迅速に対応していく。
今後のディスプレイの高機能化、多様化に伴い、多層のコーティングが必要となることを踏まえ、広幅コーティング装置は、同時に2層を塗工できる設計になっている。これにより、AG-LR(Anti-glare-LR)フィルムや反射防止(Low Reflection)フィルムなどの需要にも応じる。
加えて、消費電力を削減する新技術の導入や生産プロセスの革新によって、従来と比較して年間30%のCO2排出量の削減が見込める。増設するラインの設備投資額は約130億円を予定している。
今後、DNPは、新たに増設した生産ラインによる量産を2025年度上期に開始する予定だ。主に中国をはじめとする各国の偏光板メーカーにディスプレイ向け光学機能性フィルムの提供を拡大し、2026年度に年間約1100億円の売上を目指す。光学機能性フィルムに関して、国内外で多数の特許を保有しており、知的資産を最大限に活用して、さらに高まる高機能品の需要に対応していく。
高機能光学フィルム生産ライン増強の背景
近年、テレビなどディスプレイの大型化に伴い、パネル/偏光板/フィルムといったディスプレイ製品の面積拡大の需要は増加傾向にある。英国の市場調査会社Omdia(オムディア)によると、テレビやPCなどのモニターでは、2022〜2026年の年平均成長率(CAGR)は5%で、2022〜2029年はCAGRで4%の面積増加が見込まれている。
一方、65インチの大型テレビが主流になる中、パネルや偏光板の中国メーカーが生産効率の向上に応じるために大型化に対応したラインを増強しており、2500mm幅に対応したテレビ向け光学機能性フィルムのニーズが高まっている。
こうした動向を考慮し、DNPは、生産した光学機能性フィルムから、65インチ用フィルムを効率良く取ることができる2500mm幅対応のコーティング装置を2018年に偏光板向け保護用光学フィルム生産で世界で初めて導入しているという。この優位性をさらに生かすために、新たに三原工場に広幅コーティング装置を増設する。
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