レゾナックが川崎市と海洋プラスチックごみリサイクルの実証実験を開始:リサイクルニュース
レゾナックは、川崎市とともに、川崎港の海面清掃で回収した海洋プラスチックごみを、水素およびアンモニアなどの化学品原料やCO2にリサイクルする実証実験を開始すると発表した。
レゾナックは2024年4月9日、川崎市とともに、川崎港の海面清掃で回収した海洋プラスチックごみを、水素およびアンモニアなどの化学品原料やCO2にリサイクルする実証実験を開始すると発表した。
この取り組みは同社の川崎事業所(神奈川県川崎市)の「プラスチックケミカルリサイクル事業」で行う。プラスチックケミカルリサイクル事業は同社では川崎プラスチックリサイクル(KPR)事業と呼称されており、同事業を行う施設として川崎事業所にKPRプラントを設置している。
なお、現在、海洋プラスチックごみの多くは、リサイクルされずに焼却されているのが現状だ。今回の取り組みでは「プラスチック循環」への一歩として問題解決を目指す。
実証実験の概要
川崎市では、清掃船を使い川崎港内を巡回して流木やごみなどを回収し、集められたごみを陸揚げ/分別して処理している。今回の取り組みでは、分別されたプラスチックをレゾナックが回収し、破砕/成形工程を経て、他の使用済みプラスチックと同様に、KPRプラントで、高温でガス化して分子レベルまで分解し水素とCO2にリサイクルする。
海洋プラスチックごみの多くは、紫外線や風雨による損傷と汚れ、海水の影響による性状の不安定さから、リサイクルされずに焼却されていた。そこで、同社と川崎市は今回の実証実験を行う。
実証実験では、レゾナック川崎事業所内にあるKPRプラントのケミカルリサイクル技術(ガス化)による海洋プラスチックごみの高度リサイクルの可能性を検証する。期間は2024年4月〜2025年3月で、川崎港の海面清掃により回収した海洋プラスチックについて、レゾナックがリサイクルおよび評価検証を行う。
KPRプラントの概要と川崎市の取り組み
レゾナック川崎事業所のKPRプラントでは受け入れた容器包装プラスチックを高温でガス化して分子レベルまで分解し、水素とCO2へ転換している。水素の一部は近隣プラントで化学原料向けの素材として利用されていることに加えて、水素ステーションで燃料自動車(FCV)向けに活用されている。さらに、アンモニア原料として活用されており、合成繊維、合成樹脂、化学肥料、薬品などに生まれ変わる。
一方のCO2は大気中に放出することなくグループ会社でドライアイスや炭酸飲料、医療用炭酸ガス向けの原料に使用されている。
また、川崎市は、2022年4月に「かわさきプラスチック循環プロジェクト(愛称:かわプラ)」を設立し、プラスチックの資源循環に向けて取り組んでいる。市民、事業者、行政が実施しているさまざまなプラスチック資源の循環や拠点回収などの取り組みを、連携して推進するために立ち上げた。2024年2月現在で、14の事業社が参画している。レゾナックは、川崎市のプラスチック資源循環の取り組みに賛同した「かわプラ」参画事業社として、海洋プラスチック問題の解決をKPRの技術で推進していく。
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