レゾナックが石油化学事業のパーシャルスピンオフを検討、上場も視野に:製造マネジメントニュース
レゾナック・ホールディングスは、東京都内とオンラインで記者会見を開き、連結子会社であるレゾナックの石油化学事業についてパーシャルスピンオフの検討を開始したと発表した。
レゾナック・ホールディングスは2024年2月14日、東京都内とオンラインで記者会見を開き、連結子会社であるレゾナックの石油化学事業についてパーシャルスピンオフの検討を開始したと発表した。
パーシャルスピンオフは2023年度の税制改正により認められた新制度で、事業の成長発展が見込まれる要件を満たすものとして事業再編計画の認定を受けるなど、一定の要件を満たすスピンオフは、元親会社に持分を一部残す(20%未満)場合についても、再編時の譲渡損益や配当に対する課税を対象外とする特例措置だ。
実行は2〜3年後で売却の可能性も視野に
今回のパーシャルスピンオフでは、レゾナック・ホールディングスとレゾナックから石油化学事業を新会社として分割後、レゾナックホールディングスが新会社の株式の一部(20%弱)を継続保有し、残りの株式(約80%)を現物配当(金銭以外の財産による配当)でレゾナック・ホールディングスの株主に分配することを検討している。新会社の株式は現物配当と同時に東京証券取引所に上場することも想定している。
さらに、パーシャルスピンオフの実行予定時期は未定だが、2〜3年後の実行を念頭に置き、2024年度末に向けて詳細内容の検討を進めていく。当該検討の中には、新会社の株式を上場する市場、日本や米国をはじめとする各国における税制適格要件の充足可能性などが含まれ、パーシャルスピンオフの実行は、証券取引所やその他の関係当局、ステークホルダーの承認や認定、許認可などの取得を前提としている。
レゾナック・ホールディングス 代表取締役社長 社長執行役員 CEOの高※1橋秀仁氏は「(親会社が戦略的に小会社や自社の事業の一部を切り出し、新会社として独立させる)カーブアウトや売却ではなくパーシャルスピンオフの検討を行っている。カーブアウトの場合は、親が娘を嫁ぎ先が決まっていないのに自宅から出して期限以内に結婚してもらうようなイメージだ。パーシャルスピンオフは、自宅の敷地の中に別の建屋を建ててそこに娘を住ませ独り立ちさせるイメージだと考えている。ただし、パーシャルスピンオフの過程で良い嫁ぎ先があれば嫁いでもらう可能性は十分にある」と説明し、売却の可能性も示唆した。
※1 正確にははしご高
パーシャルスピンオフの背景
レゾナック・ホールディングスは、2020年12月10日に発表した「統合新会社の長期ビジョン(2021〜2030)」で示した通り、世界トップクラスの機能性化学メーカーとして、持続可能なグローバル社会の発展に貢献することを目指している。同社は、その実現に向けて、継続的に事業ポートフォリオの見直しを行い、半導体/電子材料事業に経営資源を集中することで、成長を促進してきた。
同社の石油化学事業は、連結売上高の約20%を占める主要事業の1つで、「安定収益事業」と位置付けている。同事業は日本の社会インフラとしての役割を果たす公共的な側面があり、将来にわたって持続的/安定的な運営を行う必要がある。そのため、今回のスピンオフにより独立させ上場会社とすることで、石油化学のグリーントランスフォーメーション(GX)を実現可能とする取り組みを加速し、さらなる成長と競争力の強化を目指すことを決定した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- レゾナックがシリコンバレーに研究開発拠点を開設、AI向け半導体の情報も収集
レゾナックは、東京都内で半導体戦略説明会を開き、米国カリフォルニア州のシリコンバレーに半導体のパッケージングおよび材料の研究開発センターであるパッケージングソリューションセンターを開設することを発表した。 - レゾナックが「共創の舞台」に半導体材料の開発を加速するVR技術を導入
レゾナックは、異なる材料の界面における分子挙動の解析などを実現するために、ヘッドマウントディスプレイを用いたVR技術を開発した。 - レゾナックが展開するSiCエピウエハー事業の強みやトップシェアの要因とは
昨今の半導体需要増加に対してレゾナックのSiCエピウエハー事業が行っている取り組みを紹介する。 - 伊藤忠商事とレゾナックが使用済みプラと繊維のリサイクルに向けた共同検討を開始
伊藤忠商事とレゾナックは、使用済みプラスチックと繊維の循環事業推進に向けた共同検討に関する覚書を締結した。レゾナック川崎事業所のプラスチックケミカルリサイクルプラントを活用し、資源循環の仕組みを構築する。 - レゾナックの最注力は半導体の後工程材料、6G向け半導体の新材料も開発
レゾナック・ホールディングスは「レゾナック株式会社」を発足した。レゾナックでは、昭和電工と日立化成の技術を組み合わせて、世界トップクラスの機能性化学メーカーになることを目指している。 - レゾナックが共創型人材の育成法を解説
レゾナックと揚羽は、「『共創型人材創出企業』を目指してCHRO組織としての取り組みとこれから」と題したセミナーで、レゾナックの人事の取り組みや揚羽のインターナルブランディングを紹介した。