2024年に国内のボトルtoボトル用リサイクルPET樹脂の供給能力が43.7万tに到達と予測:製造マネジメントニュース
矢野経済研究所は、環境対応素材の国内メーカーの動向を調査し、ボトルtoボトル用リサイクルPET樹脂の国内供給能力予測を発表した。供給能力は2024年には43.7万tに増加するが、原料となる使用済みPETボトルの供給不足は継続する。
矢野経済研究所は2024年4月12日、環境対応素材の国内メーカーの動向を調査し、ボトルtoボトル(B to B)用リサイクルPET樹脂(rPET)の国内供給能力予測を発表した。供給能力は2024年には43.7万トン(t)に増加するが、原料となる使用済みPETボトルの供給不足は継続する。
清涼飲料の主要ブランドオーナー(飲料メーカー)は、容器包装に関して独自の目標を掲げ、環境に配慮した設計と材料の活用を進めている。特にPETボトルの脱化石由来原料化が急務となっており、従来のバージンPET樹脂(vPET)からrPETやバイオマスPETへの原料転換に取り組んでいる。
PETボトルのサステナブル化には、リサイクル材料と植物由来材料の使用が有効だと考えられている。しかし、植物由来材料を用いたバイオマスPETは商業ベースで実用化されておらず、各社ではB to B用rPETを主軸にサステナブル化目標の達成を目指している。
飲料メーカーがB to B用rPETの使用目標を達成するには、各社のPET樹脂需要を満たすrPETの供給が必要だ。そのためには、飲料容器材料としての安全、衛生管理基準に合格し、樹脂のIV(Intrinsic Viscosity)値をブロー成型できるレベルに戻すための重合設備と技術が必須となる。
rPETを製造できるリサイクラーは限定的で、2021年12月時点では国内のB to B用rPETの供給能力は年15万tと、rPET需要量の3分の1程度だった。その後、既存業者の能力増強や新規リサイクラーが参入し、2022年末には年26万tまで増加。2023年には年37.5万t、2024年末には年43.7万tまで供給能力が増加すると予測する。
rPETの原料確保には、市町村で回収したPETボトルに加え、自動販売機横の回収ボックスなどから集めた事業系回収PETボトルの活用が重要となる。事業系回収PETボトルから再生したrPETは、わずかに着色が生じて飲料メーカーの要求品質を満たせない場合が多い。その多くはフレークに加工して海外へ輸出するが、これを国内向けに活用できれば、B to B用rPETの需給バランスの改善につながる。
外観品質は劣るものの、厚生労働省の「食品用器具及び容器包装の製造等における安全性確保に関する指針(ガイドライン)」をクリアした品質の樹脂として再生されたrPETは、飲料用PETボトルの原料として使用可能だ。海外では既に、これを活用したrPETによるB to Bは行われている。
2030年に使用済みPETボトルの100%B to B化を達成するには、外観を気にして安全性をクリアした樹脂を使わないということが、どこまで許容されるのかが問われる。リサイクラーの外観品質改善に向けた技術開発は不可欠だが、行き過ぎた品質要求は見直されるべきだとしている。
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