2023年の国内プラスチックリサイクル量は690万t、ほぼ横ばいに推移:リサイクルニュース
矢野経済研究所は、プラスチックリサイクル市場に関する調査結果を発表した。2023年の国内プラスチックリサイクル量を690万tと見込み、今後、ほぼ横ばいに推移すると予測している。
矢野経済研究所は2024年1月17日、プラスチックリサイクル市場に関する調査結果を発表した。2023年の国内プラスチックリサイクル量を690万トン(t)と見込み、今後、ほぼ横ばいに推移すると予測している。
調査では、回収した廃プラスチックを新たな製品の原料として再利用するマテリアルリサイクル(MR)、化学原料やモノマーなどに戻してから再利用するケミカルリサイクル(CR)、焼却処理した際に発生する排熱を利用するサーマルリサイクル(TR)を対象とした。
調査期間は2023年10〜12月で、再資源化業者やリサイクル樹脂メーカーなどのリサイクラー、コンパウンダー、化学メーカーを対象に調査を実施した。2023年の処理量の内訳は、MRが170万t、CRが10万t、TRを510万tと推計している。
これまではTRやMRが大半を占め、MRでは元の製品よりも品質の低下を伴うカスケードリサイクルが中心となっている。資源循環に向けた施策や取り組みを踏まえ、2030年頃にかけてMRの高度化やCRの実装化が進められており、MR、CRの割合が増加する見通しだ。
樹脂別に見ると、ポリエチレンテレフタレート(PET)では、PETボトルを粉砕した再生フレークの約55%が、シートや繊維、成形品など、PETボトル以外の製品にカスケードリサイクルされている。
家電や食品シート、食品容器、発砲スチールなどに用いられているポリスチレン(PS)も、物流資材や日用品、雑貨などにカスケードリサイクルされている状況だ。
家電や容器包材、日用品のポリプロピレン(PP)は、再生材の多くがパレットなどの物流資材や日用品にカスケードリサイクルされているが、一部で家電や自動車部品の限定的な用途に水平リサイクルされている。
フィルムや食品ボトルを原料とした再生ポリエチレン(PE)は、ポリ袋やごみ袋、フィルムなどにカスケードリサイクルされている。
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