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キリンがPETを低温かつ短時間で分解できる技術を開発:リサイクルニュース
キリンホールディングスは、PETのケミカルリサイクルに関する2つの新技術を発表した。PETを短時間で分解する「アルカリ分解法」と「電気透析法」によるモノマー精製法を組み合わせ、環境への負荷を抑制しつつ効率的にPETをリサイクルする。
キリンホールディングスは2023年12月15日、PET(ポリエチレンテレフタラート)のケミカルリサイクルに関する新技術として、PETを短時間で分解する「アルカリ分解法」と、「電気透析」によるモノマー精製法を開発したと発表した。
アルカリ分解法では、PETとアルカリ成分、アルコールを一定の割合で混ぜることで、効率的なリサイクルを実現する。35〜55℃の低温、かつ15分程度でPETを分解でき、グリコリシス法など従来手法で求められる高温および圧力設定が不要で、分解処理の時間も10分の1に低減した。
モノマーへの精製工程は、化学薬品の使用を抑えられる電気透析法を早稲田大学と共同で開発した。化学薬品による副産物の廃棄がなくなり、精製工程中にアルカリ成分を再生できる。再生したアルカリ成分を分解工程に戻して再利用することで、資源循環型のリサイクルプロセスとなる仕組みだ。
キリングループでは、これら2つの技術の特許を出願しており、実用化に向けて新たなパートナーを模索する。また、「容器包装を持続可能に循環している社会」の達成に向け、資源が循環し続ける社会を目指すとしている。
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