ビールの苦味成分が自律神経の活動を調整し、注意力を向上させることを確認:医療技術ニュース
慶應義塾大学とキリンホールディングは、熟成ホップ由来苦味酸の単回摂取が、自律神経活動を調節し、注意力を向上させる機能があることを臨床試験で確認した。
慶應義塾大学は2023年1月16日、熟成ホップ由来苦味酸の単回摂取が、自律神経活動を調節し、注意力を向上させる機能があることを臨床試験で確認したと発表した。キリンホールディングとの共同研究による成果だ。
熟成ホップ由来苦味酸は、ホップを加熱熟成することで生じる苦味成分だ。臨床試験では、30〜64歳の34人を、熟成ホップ由来苦味酸とプラセボの摂取順番が異なる2つのグループに分け、それぞれを1回ずつ摂取してもらった。摂取前後に認知機能課題を実施し、試験実施中は自律神経活動をモニターするために心拍変動を測定した。
その結果、プラセボ群と比較して熟成ホップ由来苦味酸群は、認知機能課題実施中の総自律神経活動が有意に上昇しており、注意機能のテスト成績や実行機能を評価するスコアも向上した。
ホップは、ビールに香りと苦味を付与する伝統的なハーブであり、さまざまな健康効果を持つことが古くから知られている。キリングループはこれまでの非臨床試験で、ホップに含まれるイソα酸や熟成ホップ由来苦味酸が、加齢に伴う認知機能の低下や鬱様行動を抑制したり、アルツハイマー病を予防したりする効果があることを確認している。また、熟成ホップ由来苦味酸を含むサプリメントの継続的摂取により、健康な中高齢男女の記憶力や注意力、気分状態が改善することも報告している。
今回の研究により、これまでの研究では明らかにされていなかった、ヒトにおける熟成ホップ由来苦味酸のメカニズムの一端が解明された。また、熟成ホップ由来苦味酸を1回摂取することでも注意力が向上するという、新たな知見も得られた。
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