認知症の早期治療へ、高分解能PET装置で従来より高画質に画像を撮像:医療機器ニュース
近畿大学は、島津製作所が開発した頭部と乳房を切り替えて使用できる高分解能PET装置「TOF-PET装置 BresTome」のプロトタイプを頭部専用PETとして用いて、従来装置よりも高画質な画像を撮像し、診断時における有用性を示した。
島津製作所は2023年1月6日、近畿大学の研究グループが、頭部と乳房を切り替えて使用できる高分解能PET装置「TOF-PET装置 BresTome」(BresTome)のプロトタイプを頭部専用PETとして用いて、従来の装置よりも高画質な画像を撮像し、診断時における有用性を示したと発表した。認知症の早期治療への貢献が期待される。
BresTomeは、乳房専用PET装置を改良し、乳房だけでなく頭部専用としても撮像可能なPET装置だ。島津製作所が開発した。
今回の臨床試験では、認知機能障害やてんかんなどの患者18人に対する脳FDG-PET装置を用いた撮像、認知機能障害患者17人に対する従来型PET/CT装置を用いた撮像と、同装置による撮像を比較した。
その結果、全例で本装置による画像の方が高画質だった。また、従来型PET/CT装置では、アミロイドの沈着が確認され、アルツハイマー病理の存在が示された患者1例が、同装置の画像ではアミロイド沈着は確認されず陰性と診断された。従来の脳アミロイドPET検査では、判定に苦慮する症例が1割程度存在するといわれている。
(左)従来PEF/CT装置で得られた脳アミロイドPET画像。黄色矢印の部分で灰白質にアミロイドの分布を示すPET薬剤集積が広がっているように見え(赤い部分が脳の表面まで広がっている)、同部にアミロイドが蓄積していると判定された。(右)本装置で得られた脳アミロイドPET画像。従来装置でアミロイド蓄積陽性と判定された部分について、灰白質まで集積が及んでいないことが分かる(赤い部分は脳の表面まで達していない) 出所:島津製作所
代謝などの機能をみるPET検査は、CTやMRIのような形態の異常をみる画像検査と比べて分解度が低く、ぼやけた画像になるという欠点があり、高解像度のPET装置の開発が期待されている。両者は2020年より、BresTomeのプロトタイプを用いた臨床試験を実施している。
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