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飲料製造に高度な自動化と品質を、オムロンがキリンテクノシステムに出資FAニュース

オムロンは2022年10月18日、キリンビールの子会社である飲料検査機大手のキリンテクノシステム(KTS)に出資すると発表した。キリンビールが保有するKTSの発行済み株式の内60%をオムロンに譲渡し、KTSはオムロンの連結子会社となる。

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 オムロンは2022年10月18日、キリンビールの子会社である飲料検査機大手のキリンテクノシステム(KTS)に出資すると発表した。キリンビールが保有するKTSの発行済み株式の内60%をオムロンに譲渡し、KTSはオムロンの連結子会社となる。

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出資の枠組み[クリックで拡大] 出所:オムロン

 KTSはキリンビールのエンジニアリング部門を前身とし1990年に設立された飲料業界向けの検査装置を展開するメーカーである。1970年代からCCDカメラを用いた高性能びん検査機を開発。高速な画像検査技術などを起点に、外観検査機や液中異物検査装置、印字検査機など、さまざまな検査装置を展開している。国内の飲料業界向け検査機市場において高いシェアを持つ他、医薬、容器製造など幅広い業界で事業展開をしている。

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オムロン 執行役員常務 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー社長の辻永順太氏

 一方のオムロンは、2030年をターゲットとした長期ビジョン「Shaping the Future 2030」において、制御機器事業の注力領域としてデジタル、環境モビリティ、食品/日用品、医療、物流の5つを挙げている。さらに、2025年3月期(2024年度)までの中期経営計画において、これらの5領域向けは事業全体を上回る年平均成長率(CAGR)12%を目指している。その中でも飲料業界は高い成長率が期待されており、事業競争力強化が求められていた。そこで、キリンテクノシステムの持つ高度な検査技術と搬送技術、飲料業界を熟知したソリューション力に目を付けたという。

 オムロン 執行役員常務 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー社長の辻永順太氏は「高い技術力があるという点、また国内を中心に多くの顧客を抱えているという点から、オムロンから声をかけた。企業理念の共通性なども含め目指す方向性の一致度が高く話を進めることができた」と語っている。

ゼロディフェクトとラインイベントゼロを実現

 オムロンが今回の出資によって目指しているのは、KTSの検査機データを活用したオートメーションの高度化だ。検査機の個体データを完全管理する「高度品質トレーサビリティー」の確立に加え、検査データのリアルタイムフィードバックにより不良品を作らない「ゼロディフェクト」、突発停止を未然に防ぐ「ラインイベントゼロ」の実現を目指すという。

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シナジーによる新たなソリューション[クリックで拡大] 出所:オムロン

 特に出資により技術面で深い領域まで共同開発を行えることで効果が得られると期待されるのが、「ゼロディフェクト」と「ラインイベントゼロ」だ。オムロンでは独自のモノづくり革新コンセプト「i-Automation!」を掲げており、オムロンの持つ20万種以上の機器群をベースに、現場の「integrated(制御進化)」「intelligent(知能化)」「interactive(人と機械の新しい協調)」を推進し、顧客課題に寄り添ったソリューション提案をしてきた。その中で、検査機データを活用したアプリケーションなども展開してきたが、飲料業界のように高速で容器や液体が動き回る中でこれらのデータを正確に取得し、その分析結果を制御に反映させるのは難しかったという。

 辻永氏は「飲料業界の検査機は固有のものが多く、さらに高速処理が要求され、従来のオムロンが持つ技術だけでは求める価値を発揮するのは難しかった。出資により技術を手に入れることで進められるようになる」と語っている。

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不良品を作らないライン「ゼロディフェクト」のイメージ[クリックで拡大] 出所:オムロン

 オムロンからKTSへの出資額については非公開としており、オムロンの中期経営計画目標などへの影響はないとしている。また、出資手続き完了後にKTSの社名を「オムロンキリンテクノシステム」に変更することを計画する。さらに、過半数の取締役および監査役もオムロンから派遣する予定だ。

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