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オムロン ロボット事業の現在地、ロボットとラインの統合制御は実践で価値証明へFAインタビュー(1/2 ページ)

2015年に本格的にロボット事業に参入したオムロン。買収や提携などを経て、ライン制御とロボット制御を統合して行う「ロボット統合コントローラー」なども展開する中、現状をどのように捉え、今後はどのような方向性で進むのか。オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー ロボット推進プロジェクト本部長の寺山昇志氏に話を聞いた。

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 製造現場領域で20万種以上にも及ぶ豊富な機器群を抱えるオムロン。同社はこの豊富な機器群を「ILOR+S(インプット、ロジック、アウトプット、ロボット+セーフティ)」として表現しているが、この頭文字の中で、最後に加わったのが「R」のロボットである。

 オムロンは2015年に米国Adept Technology(以下、アデプト)を買収したことによりロボット領域に本格参入。その後、2021年10月には台湾の協働ロボットメーカーであるTechman Robot(以下、テックマン)への出資も行うなど、ポートフォリオの拡充を進めてきた。また、2020年にはロボットと制御機器を一体で制御できる「ロボット統合コントローラー」も開発。オムロンが目指す、生産ラインとロボットを一体制御することで得られる、高度な人手の再現などを実現できる環境が整いつつある。

 オムロンのロボット事業の現在地について、オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー ロボット推進プロジェクト本部長の寺山昇志氏に話を聞いた。

価値を提案する新たなフェーズへ

MONOist ロボット事業に本格参入してから6年が経過しました。ここまでの振り返りと現状の手応えについて教えてください。

寺山氏 2015年のアデプトの買収から最初の2〜3年は、企業として統合を進めるところを最優先で行ってきた。まずは営業領域での融合を進め、製品領域や技術領域では何ができるのかを検討し始めたというフェーズだったと考えている。その後、2018年にテックマンとの提携を行い(その後2021年に出資をする)、その頃からロボット事業での価値創出に向けた製品作りが本格化した次のフェーズに入ったと考えている。

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オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー ロボット推進プロジェクト本部長の寺山昇志氏

 これらを踏まえて製品化したのが2020年に発売した「ロボット統合コントローラー」だ。オムロンではロボット事業の参入当初から各種装置やロボットを同一プラットフォーム上で制御することでモノづくり現場における自動化領域を拡大することを目指してきたが、それを体現する製品だと考えている。これにより装置とロボットの精密な同期制御が行えるようになった。ロボット事業参入当初から思い描いてきたことがようやく実現できるフェーズに入ったといえる。

 ここからはこの価値をさらに浸透させ、普及を進めていきたい。テックマンへの出資をはじめとする事業強化により、ロボット統合制御のコンセプトを協働ロボットの領域に広げていく。また、導入が広がっているモバイルロボットとの統合制御も広げていく考えだ。

ロボット統合コントローラーのコンセプトに共鳴

MONOist ロボット統合コントローラーは2020年7月に販売開始されていますが、実際の引き合いはどうですか。

寺山氏 最初は価値を伝えることが中心だったが、浸透が進んできた。ロボット統合コントローラーのコンセプトに共感をしてもらえるケースも多い。ロボットと制御機器を統合的に制御してスループットを上げたいというのは多くの製造現場で悩みとなっており、そこを解決するために話をいただく場合が多い。さまざまな業界から反応はあるが、特にロボット活用へのニーズが高い食品業界や自動車業界などからの引き合いが強い。実機なしにシミュレーションが行える点なども評価を得ている。

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ロボット統合制御のイメージ[クリックで拡大] 出所:オムロン

MONOist ロボット統合コントローラーのコンセプトから考えると、オムロン製のロボット以外のロボットとも連携できるようになるのが理想だと考えますが、そうした動きはあるのでしょうか。

寺山氏 顧客側から見た場合にメーカーにこだわらずにロボットと製造ラインが精密に連携できる世界が理想だというのは理解している。もちろんそうした世界を実現するために、オムロン側として閉じるつもりはないが、現実的には難しいと考えている。

 単純に稼働情報を取るような連携であれば容易に行えるが、ロボット統合コントローラーは高精度の同期制御を一体で実現することを目指したものだ。そのためには、ロボットのソースコードを読み解き、制御側の命令と照らし合わせて1つ1つパフォーマンスを確認していく作業が必要になる。ロボットメーカーにとって商品力の根幹となるもので、こうした情報を外部に出すようなことは考えにくい。門戸を閉じるものではないが、出資や買収などの深い関係性を作らない限りは難しいだろう。

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