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ホンダ日産が協業の検討を開始、「なるべく短期間で結論を出す」電動化(2/2 ページ)

日産自動車とホンダは自動車の電動化や知能化に向けて戦略的パートナーシップの検討を開始する覚書を締結した。

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企業文化の違いは「あって当然」

 三部氏と内田氏は、日本自動車工業会(自工会)の副会長として議論する中で、お互いに共通認識を持つことを確認していた。2024年1月中旬ごろから「少し両社の話をしてみようか」(三部氏)と話し合い、「うまい効果が出そうだという結論に至り、これ以上の詳細を議論するにはMOUの締結が必要だった」(三部氏)。

 会見では両社の企業文化の違いについて質問があった。これに対し三部氏は「日産の技術的なアプローチはホンダと親和性が非常に高い。技術ドリブンの会社であるところも似ている。共通する部分を考えるとパートナーとして最適なのではないか。企業が違えば文化が違うのは当たり前なので、文化の壁を乗り越えることが前提ではあるが、その先には非常に効率的なシナジーの最大化があると見込んで発表に至っている」と回答した。

 内田氏は「われわれは企業文化の違うルノーと長年一緒にやってきた経験がある。これだけ多様な世界になってきたので、文化の違いは乗り越えられるし、目的が一緒であればそこにどう到達するかを議論していける。スピード感や危機感などはある程度ホンダと共有できると考えている。文化が違う中でお互いのいいところを持ち寄りながら、いかに最終目的に向かっていくか、話し合っていくことが一番重要なのではないか」とコメントした。

 ホンダと日産のそれぞれの商品に対する消費者のイメージは異なる。協業では、単純なOEM(相手先ブランドによる生産)供給や、消費者が見たり触ったりできる部分の共有については考えていないようだ。

「クルマの中身での協業を検討していく。アプリケーションやユーザーとの接点になる部分など、会社の特徴を出す手段はそれぞれ個社でやっていく。その内側のコアとなる部分について、スケールメリットを最大限生かしてコストを下げられるか検討していきたい。目的によって、領域ごとにそれぞれが分担したり、全体をワンチームにしたり、ベストなやり方があると過去の協業の中で経験してきた。最適な進め方を見いだして、具体的な契約に持っていきたい」(三部氏)

競争環境の変化に対する危機感

 協業を模索する背景には、ライバルが伝統的な自動車メーカーだけではなくなったこと、ソフトウェアの重要性が増していること、新興自動車メーカーが価格競争力やスピードを上げてきたことなど競争環境の変化がある。その中で、従来のやり方にこだわっていては成長できず、競争に太刀打ちできないという危機感が高まった。「新興企業の攻勢は極めて速く、強力だ。また、電動化や知能化の技術革新が従来の構造を破壊している。この変化に対応できない企業は淘汰(とうた)されるくらいの厳しい状況だ」(三部氏)という。

 電動化や知能化に必要な技術開発を全て自社でやるのは厳しいという認識をホンダも日産も持っていた。スピード感が重要であることも、両社の共通認識だ。「悠長に構えている余裕はない。何ができるか、何をすべきなのか、幅広い範囲で協業の可能性を探り、できることは速やかに決断して実行に移していきたい。やめるべきことをどうやめるかという点も含めて、いろいろな議論をしたい」(内田氏)

 台数増による電動化や知能化のコスト低減だけでなく、投資を効率的に行うことも狙っている。「技術アプローチを共通化することで、開発費も含めた投資の効率化や効果の最大化を図れる。オペレーションがうまくいけば、ホンダも日産も今後の戦略の実現を加速できるだろう」(三部氏)

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