ソニー・ホンダモビリティが模索する新たなモビリティの価値とは:自動運転技術(1/2 ページ)
ソニーグループは2024年1月8日(現地時間)、同年1月9日から開催される「CES 2024」に先立ってプレスカンファレンスを実施し、ホンダとの共同出資会社ソニー・ホンダモビリティの自動運転EV「AFEELA」の開発状況などを紹介した。
ソニーグループは2024年1月8日(現地時間)、同年1月9日から米国ラスベガスで開催される「CES 2024」に先立ってプレスカンファレンスを実施し、ホンダとの共同出資会社ソニー・ホンダモビリティで2025年から受注開始予定の自動運転EV(電気自動車)「AFEELA(アフィーラ)」の開発状況などを紹介した。
ソニーグループのプレスカンファレンスでは、ホンダ 取締役 代表執行役社長の三部敏宏氏が登壇。ホンダのビジョンである「すべての人に、『生活の可能性が拡がる喜び』を提供する」の下、クルマ以外の空や海、宇宙での移動も含む「モビリティ」の価値拡大への取り組みを進めていることを訴え「モビリティによって空間的な領域を広げていくためには、さまざまな新しい技術開発が必要で、社外の技術を活用することもある。ソニーとの協力もその一環となるもので、特にソニーのセンシング技術は優れており、今後の活用の場も広がるだろう」と三部氏は語っている。
さらに、ソニーグループとホンダの共同出資会社であるソニー・ホンダモビリティについては「自動車業界は今100年に1度の大変革期にあり、その震源はデジタル技術によるモビリティの拡張にあると考えている。ホンダはその変革をリードする存在でありたいと考えており、ソニー・ホンダモビリティは変革に向けた重要な取り組みの1つだ。ソニーグループとホンダという2社が組むことでしかできない化学反応がある。これを活用して今までに考えられなかったような全く新しいモビリティを生み出してほしい」と三部氏は期待について述べている。
認知と行動計画両面でADASにAIを組み込む
これらを受けて、ソニー・ホンダモビリティの社長 兼 COOである川西泉氏は自動運転EV「AFEELA」のプロトタイプを、家庭用ゲーム機であるPlayStationのコントローラーで操作して舞台に呼び込んで、技術的な取り組みについて説明した。
川西氏は「今回のゲームコントローラーで遠隔操作する登場の演出は技術デモだが、われわれはモビリティにおいて、ソフトウェアが新しい機能と価値を定義すると確信している。人とモビリティの新たな関係性を再定義したい。モビリティをインタラクティブに感じる存在に進化させることで人の移動を革新するとともに、リアルとバーチャルの世界を融合して新たな価値を生み出していく」と語る。
具体的な取り組みとして、「ADAS(先進運転支援システム)におけるAI(人工知能)の活用」と「クリエイティブエンターテインメント空間としてのモビリティ」について説明した。
「ADASにおけるAIの活用」については、「知覚」と「行動計画」の両方でAIを活用し、最適な認識や判断が行えるようにしている。AFEELAには、イメージセンサーやLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)、レーダーなどのセンシングデバイスが多数搭載されているが、これらのさまざまなセンシングデータを組み合わせて、最適な認識と予測を行うようにする「Vision Transformer」や、これらで得られた情報を基に最適な行動計画を構築する「Neural Network Planner」をADASアーキテクチャ内に構築している。「認識にAIを使うだけでなく、経路推定にも機械学習を使用する。また、安全性を確保するために冗長性のあるシステム構築を目指している」と川西氏は語る。
また、AIを使った機械学習システムについては、Qualcomm(クアルコム)のSnapdragon Ride SoCを採用し、同社の技術プラットフォームを活用して学習から推論までの一連の仕組みを構築している。さらに、ADASシミュレーターは2023年に協業を発表したEpic Gamesと開発を進めており、数々のゲームで実績のあるリアルタイム3Dコンテンツなどの制作ツールである「Unreal Engine」を活用し、リアルな3D仮想空間を再現。AFEELAからのデータや天候や歩行者、クルマの情報などを組み込み、リアルな外的環境条件を再現し、高精度のシミュレーションを行えるようにしている。
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