2023年のカーボンナノチューブ世界出荷量は前年比1.5倍に、車載LiB需要がけん引:製造マネジメントニュース
矢野経済研究所は、カーボンナノチューブの世界市場に関する調査結果を発表した。2023年の同市場規模は、韓国のLiBメーカーによる多層CNTの採用が増加し、メーカー出荷量で2022年比50.4%増の1万986tを見込む。
矢野経済研究所は2024年1月24日、カーボンナノチューブ(CNT)の世界市場に関する調査結果を発表した。2023年の同市場規模は、メーカー出荷量で2022年比50.4%増の1万986t(トン)を見込む。
調査は、カーボンナノチューブメーカーを対象に、2023年8〜11月に実施。自動車の電動化が世界的に加速したことから、2021年にxEV(EV、HEV、PHEV)の世界生産台数が大幅に増加した。その影響からCNT世界市場は、車載用リチウムイオン電池(LiB)の導電助剤用途の需要が伸びている。
一方で、2022年は主要国の補助金政策の変更などから、xEVの市場成長に鈍化の兆候が見られ、2023年も減速感が強まった。CNT需要もおおむねxEV市場の好不調にリンクしているが、2023年は韓国のLiBメーカーによる多層CNTの採用が増加し、前年比50.4%増の成長率が見込まれる。
注目市場となる多層CNTの世界市場規模は、前年比42.8%増の1万940tになると予測する。地域別の需要では、中国が約75%を占めるが、ここ数年は導電助剤として多層CNTを採用した韓国LiBメーカーが欧州向け出荷を拡大しており、欧州のシェアが増えつつある。需要地としては北米も増加傾向にあるが、日本のシェアは低下している。
将来的には、車載用LiBの正極材におけるリン酸鉄リチウム(LFP)の回復と三元系(NCM)のハイニッケル化が後押しし、多層CNTの需要は成長が続く見通しだ。単層CNTについても、xEVの急速充電性能の向上に向け、シリコン負極材へ導電助剤を適用する動きが拡大し、車載用LiB向けの需要増加が本格化する。こうした状況から、2028年にはCNTの市場規模は5万t超に伸長すると予測している。
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