矢野経済研究所は2023年1月13日、商用車の電動化に関する市場見通しを発表した。
商用車の世界販売台数は2035年に3053万台(2019年比13.7%増)で、HEV(ハイブリッド車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)、EV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)といった電動車が占める比率は最大で49.1%まで拡大すると見込む。保守的な予想では電動化比率は33.3%だ。なお、2022年の電動化比率は見込み値で3.7%となっている。
2021年の電動商用車の世界販売台数は29.9万台で、商用車全体に占める電動化比率は1.2%だった。中国や欧州が中心となって市場をけん引しており、補助金などの普及施策を受けて販売台数を伸ばしてきた。
商用車の電動化では、バッテリーを含めた積載量や走行距離の短さが課題として指摘されてきたが、各国で対策が取られている。欧州ではEVやFCVに限定して積載量を緩和しており、米国でも同様の動きがみられるという。走行距離に関しては、急速充電の他、バッテリー交換や架線充電などさまざまな方式での充電が検討されている。
中国ではNEV(新エネルギー車)向け補助金などの優遇を受けて、電動商用車の販売台数が増加している。特に大型バスはEVの新車販売に占める割合が高い。バスは海外への輸出やノックダウン生産などが進む。欧州では電動化の中心は小型商用車だが、主要な商用車メーカーのラインアップ拡充によって大型トラックでも電動化が進むとみられる。
市場をけん引する中国や欧州の他、インドなどの新興国においても大気汚染対策で旅客輸送領域の電動商用車の普及が見込まれる。
電動パワートレインのうち、EVはバスや小型商用車での採用が進んでいるが、代替燃料や水素エンジンを使うHEVによるCO2排出削減を目指す動きもあり、長距離輸送はHEVやFCV、代替燃料など、適材適所での電動化が進むと見込む。
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