旭化成のDX戦略、MIで従来品の2倍の性能を実現し共創型MIの基盤も構築:マテリアルズインフォマティクス(4/4 ページ)
旭化成は、東京都内とオンラインで説明会を開き、マテリアルズインフォマティクス(MI)の導入やデジタル人材の育成など、DXに関する同社の取り組みを紹介した。
旭化成の2024年度目標
サイバーセキュリティ対策では、ゼロトラストの導入やSOC(Security Operation Center)/CSIRT(Computer Security Incident Response Team)の運用、制御セキュリティの確立、セキュリティ教育の実施、グローバルセキュリティの確保を行っている。
ゼロトラストの導入では、クラウド/インターネットの利活用を推進するために、拠点間やクラウドとのネットワークをソフトウェアで制御するSD-WAN(Software Defined-Wide Area Network)やネットワークセキュリティモデルのSASE(Secure Access Service Edge)を採用。エンドポイントセキュリティやユーザー/デバイス認証の強化によりゼロトラストも推進している。
加えて、セキュリティインシデントの検知/対処を行うために、企業のシステムやネットワークを監視してインシデントの早期発見とセキュリティの強化を図るための組織であるSOC/CSIRTを自社内で運用。SOC/CSIRTでは外部機関と連携しながらノウハウを社内に蓄積しセキュリティインシデントへの対応を高度化している。
制御セキュリティの確立では、旭化成グループ全工場の150カ所以上に統合型脅威管理(UTM)を導入し、制御システムと外部ネットワークを適切に分離。さらに、従業員向けに年間2回のセキュリティ教育と標的型メール訓練を行い、社員がセキュリティに関する知識や感度を高められるようにしている。また、買収した会社を含めた海外の現地法人に対して、セキュリティモニタリングやICT環境の標準化を実施し、全社で高いセキュリティレベルを維持している。
デジタル変革のロードマップによれば、2024年以降はデジタルノーマル期で全従業員である4万人がデジタル技術活用のマインドセットで働くことを目標に掲げている。具体的には2024年度に、全従業員のうち2500人程度をデジタルプロ人材とすることに加え、デジタルデータ活用量を2021年度比で10倍にし、選定した重点DXテーマで100億円の増益に貢献する。
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