海のマイクロプラスチックが紫外線を浴びた時間を推定する手法を開発:研究開発の最前線
旭化成は、マイクロプラスチックが屋外に出た後、紫外線を浴びた経過時間を推定する手法を開発した。同手法を用いた調査により、海面近くのマイクロプラスチックは、1〜3年程度で沈降していくことが示唆された。
旭化成は2023年5月15日、九州大学と共同で、マイクロプラスチックが屋外に出た後、紫外線を浴びた経過時間を推定する手法を開発したと発表した。同手法を用いた調査により、海面近くのマイクロプラスチックは、1〜3年程度で沈降していくことが示唆された。
海に浮遊するマイクロプラスチックは、流出したプラスチックごみが紫外線などの影響を受けて劣化し、微細片になることで発生する。今回の研究では、プラスチックの1種であるポリエチレン(PE)の劣化により生成される化合物の赤外線吸光強度比や、置かれた環境の温度、照射された紫外線強度の累積量の関係から、紫外線を浴びた経過時間をマイクロプラスチックの「年齢」として割り出した。
同手法を用いて、日本近海や外洋の海面表層で採取したマイクロプラスチックの年齢分布を調査。その結果、北西太平洋や赤道といった外洋では、1〜3歳の範囲に集中している一方で、陸に近い日本近海では、0〜5歳と幅があることが分かった。
このことから、海には海面近くを浮遊するマイクロプラスチックを3年程度で除去して海底に沈降させる働きがあることがうかがえるが、海岸にマイクロプラスチックが漂着した時点ではその除去機能が失われることが示唆される。
生態系などへの影響が懸念されるマイクロプラスチックは、世界の海洋表層に約24兆粒が浮遊しているとされる。研究グループは、同手法が海洋中のマイクロプラスチックの行方を探る手掛かりになるとしている。
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