「Nano Terasu」を有効活用するために住友ゴムが仙台に研究拠点を開設:材料技術
住友ゴム工業は、宮城県仙台市内の施設で立地表明式を開き、次世代放射光施設「Nano Terasu」を活用した先進研究と新技術開発を行うための拠点「住友ゴム イノベーションベース・仙台」を開設することを発表した。
住友ゴム工業(以下、住友ゴム)は2023年11月17日、宮城県仙台市内の施設で立地表明式を開き、2024年度から同市青葉区で運行開始予定の次世代放射光施設「Nano Terasu(ナノテラス)」を活用した先進研究と新技術開発を行うための拠点「住友ゴム イノベーションベース・仙台」を開設することを発表した。開設先は同区で2024年2月に開業するオフィスビル「アーバンネット仙台中央ビル」の一部フロアとなる。アーバンネット仙台中央ビルの入居テナント第1号が住友ゴムとなる。
アーバンネット仙台中央ビルは、仙台市が都心部を豊かな緑と都市機能が共存する魅力的なエリアへと進化させる目的で推進する再開発計画「せんだい都心再構築プロジェクト」の第1号物件で、仙台市青葉区に位置し、開発はNTT都市開発が担っている。最大の特徴はNano Terasuとつながる大容量の専用通信回線と情報の解析が行えるPCを備えた9部屋のデータ分析室を備えるだ。この分析室により現地に足を運ばなくてもNano Terasuの放射光と分析装置で解析した対象材料の電子状態や構造状態のデータを取得できる。
具体的には、9部屋のデータ分析室は、民間企業が利用することが決まっているNano Terasuの放射光の7ラインおよび分析装置と専用の通信回線でつながっている。また、データ分析室の隣には仮眠室を設け、研究者が休憩できるようにする。
なお、Nano Terasuでは、東北大学青葉山新キャンパス(仙台市青葉区)で、国と地域、産と学が一体となって建設を進めている研究開発施設だ。ナノレベルで物質を観察できる放射光を使って、新しい機能を持つ材料、デバイスの開発、創薬の研究開発などが行われる。
住友ゴム 取締役常務執行役員の村岡清繁氏は「Nano Terasuを研究開発に利用する効果を最大化するために拠点を開設する。その背景にはカーボンニュートラルやサステナビリティなど、自動車用タイヤに求められることが以前と比べ大きく変わっていることがある。タイヤ開発ではゴム材料の開発が不可欠だ。ゴム材料の開発は導入する複数の素材や複雑な構造について検討しなけらればならないため難しい。しかしながら、当社はさまざまな技術を活用し新しいゴム材料の開発を進めてきた。今後は、Nano Terasuという武器を手に入れたことを弾みとし、ゴム材料の研究開発を加速したい。加えて、先端の研究開発は個社では困難なため、産官学連携で実施し、成功につなげたい」と抱負を語った。
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