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住友ゴムの白河工場が目指す水素の地産地消モデルとは工場ニュース(1/3 ページ)

住友ゴム工業は、福島県白河市の白河工場で、水素エネルギーを活用したタイヤ製造に成功した他、水素の地産地消モデルの構築を進めている。

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 住友ゴム工業は2023年4月18日、福島県内で、「水素エネルギーを活用したタイヤ製造のお披露目会」を開催した。当日は、県内のホテルで水素エネルギーを活用したタイヤ製造の概要について紹介した後、同社の白河工場(福島県白河市)で水素ボイラーなどの見学会を行った。

タイヤ加硫工程で水素エネルギーを活用


住友ゴム工業 代表取締役社長の山本悟氏

 同社 代表取締役社長の山本悟氏は、「近年、気候変動の影響拡大によるカーボンニュートラルへの急激なシフトや労働/人権問題をはじめとした社会問題(の発生)、CASE(Connected、Autonomous、Shared & Services、Electricの頭文字をとった造語)およびMaaS(Mobility as a Service)の発展によるモビリティ社会の変革など、外部環境が変化してきている。こういった状況を踏まえて、当社は、サステナビリティ長期方針『はずむ未来チャレンジ2050』を策定し、循環型ビジネスの確立を目指している」と語った。

 はずむ未来チャレンジ2050では、GHG(温室効果ガス)プロトコルにおける「Scope1(燃料の使用や工業プロセスでの直接排出の温室効果ガス排出量)」と「Scope2(他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う温室効果ガスの間接排出量)」でのカーボンニュートラルや水素の活用を目標として掲げている。


「はずむ未来チャレンジ2050」のイメージ[クリックで拡大] 出所:住友ゴム工業

 カーボンニュートラルへの取り組みとして、白河工場では、照明のLED化と高効率エネルギー機器を採用している他、ガスタービンなどのエネルギー効率に優れる設備を導入している。さらに、購入する電力を再生可能エネルギー由来の電力に切り替え、従業員が通勤用の車を停める駐車場の屋根に太陽光発電設備を設けている。

 水素エネルギーの活用については、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として、白河工場内に設置された高精度メタルコア製造システム「NEO-T01」の一部ラインでタイヤ加硫工程に必要な高温/高圧な蒸気を得るために、敷地内の水素ボイラーで水素を燃焼させる実証実験を行っている。このNEO-T01の製造ラインでは、ゴムの混合、タイヤの成形、検査の工程で使用する電力に、駐車場の屋根に取り付けられた太陽光発電設備で発電した電力を活用している。


高精度メタルコア製造システム「NEO-T01」での水素エネルギー活用のイメージ[クリックで拡大] 出所:住友ゴム工業

 こういった取り組みにより、日本初(同社調べ)の製造時(Scope1、2)におけるカーボンニュートラルを達成した量産タイヤとして、欧米を中心にタイヤの販売を行うタイヤブランド「FALKEN(ファルケン)」のフラグシップモデル「AZENIS(アゼニス) FK520」の生産を2023年1月23日に開始した。


水素活用により白河工場で生産された「AZENIS FK520」[クリックで拡大]
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