住友ゴムの白河工場が目指す水素の地産地消モデルとは:工場ニュース(2/3 ページ)
住友ゴム工業は、福島県白河市の白河工場で、水素エネルギーを活用したタイヤ製造に成功した他、水素の地産地消モデルの構築を進めている。
2050年までには全ての海外工場で水素を活用
同社 執行役員 タイヤ生産本部長の齋藤健司氏は「AZENIS FK520の年間生産量は数万本で、欧州で先行発売している。今後は、欧州だけでなく、環境配慮製品が好まれる南米やトルコでも販売していきたい」と話す。
NEO-T01の加硫工程で通常使用する水素は、レゾナック・ガスプロダクツの拠点(福島県郡山市)から供給されるグレー水素(石油、天然ガス、石炭といった化石資源から抽出される水素)だが、同県浪江町の福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)からグリーン水素(再生可能エネルギーで生成された水素)の供給を受けた実績もある。このように県内で水素の供給と消費を行う体制を構築することで、水素の地産地消モデルの構築を進めている。
水素供給会社(製造企業、ボイラーメーカー)、水素使用会社(電力会社、重工業メーカー)、教育機関、研究機関、行政/地方自治体などと産官学の連携も行い、水素エネルギーの活用で社会課題の解決を推進中だという。
水素供給会社や水素使用会社とは脱炭素/水素社会の構築に向け連携を強化しており、教育機関や研究機関とは技術情報の収集を通じて学術的見地からのアドバイスを求めている。行政/地方自治体とはNEDOの助成事業である今回の水素活用を通じて、水素の地産地消モデル構築と社会実装の促進で協力している。
山本氏は、「今後は、水素利用における技術の確立と地産地消モデルの構築を目指す。白河工場では2030年までにAZENIS FK520の製造ラインだけでなく全ての製造ラインで水素を活用したい。2035年までには国内の全工場で水素活用を展開し、2050年までには全ての海外工場で水素を使用していく。これにより、2050年までにScope1、2を対象にカーボンニュートラルを実現するという“はずむ未来チャレンジ2050”で掲げた目標の達成を加速する」と抱負を語った。
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