住友ゴムの2万km走っても新品同様のタイヤ、将来目標は5万km:東京モーターショー 2017
住友ゴム工業は、「第45回東京モーターショー 2017」において、未来のモビリティ社会で求められる性能を実現する技術開発コンセプト「SMART TYRE CONCEPT」を発表。併せて、同コンセプトの5つの方向性のうち「性能持続技術」を採用したコンセプトタイヤを初披露した。2万kmの走行後も、新品と同じウェットグリップを実現したという。
住友ゴム工業は2017年10月26日、「第45回東京モーターショー 2017」(東京ビッグサイト、プレスデー:2017年10月25〜26日、一般公開日:10月28日〜11月5日)のプレスブリーフィングにおいて、未来のモビリティ社会で求められる性能を実現する技術開発コンセプト「SMART TYRE CONCEPT」を発表した。
同社社長の池田育嗣氏は「自動車産業を取り巻く環境が大きく変化する中で、自動車はよりクリーンで、より便利な自動車になることが求められており、今までとは別次元のタイヤが必要になる。そのための新たな技術開発コンセプトがSMART TYRE CONCEPTだ」と語る。
SMART TYRE CONCEPTは、核となる方向性として「センシングコア」「アクティブトレッド」「性能持続技術」「エアレスタイヤ」「LCA」の5つを挙げている。東京モーターショー 2017では、これらのうち「性能持続技術」を採用したコンセプトタイヤを初披露した。
「性能持続技術」は、摩耗と劣化による性能低下をさまざまな面から抑制するものだ。既にゴムの劣化を抑制する「液状ファルネセンゴム」を採用したダンロップブランドのスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX 02」を実用化しているが、これをさらに発展させていくことになる。
今回の「性能持続技術」採用コンセプトタイヤでは、タイヤが摩耗することで生じる性能変化を予想する新技術「Tyre Lifetime Simulation」により溝形状を最適化するとともに、ナノからミクロンレベルまでゴムの内部構造を解析する「ADVANCED 4D NANO DESIGN」などで劣化を抑制。2万kmの走行後も、新品と同じウェットグリップを実現したという。
これらの技術は2020年に量産採用する計画だが、「性能持続技術」としての目標は「5万kmの走行後も新品と同様」となっている。
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