テルモが使い捨て子宮鏡を発売、子宮内膜ポリープの外来手術に最適:医療機器ニュース(2/2 ページ)
テルモのフルディスポーザブル硬性子宮鏡「オペラスコープ」は、既に滅菌した状態でパッケージに入っているため、一般的な硬性子宮鏡システムのような滅菌作業が不要であり、価格も5万5000円と安価に抑えられているので使用後に使い捨てる運用が可能だ。
テルモの新規事業部MISWにおける婦人科ポートフォリオ創造の第1弾に
子宮内膜ポリープは、子宮内膜が肥厚もしくは増殖して限局的に子宮内腔に突出したもので、30歳以上で10〜24%存在し諸症状を引き起こすといわれている。この子宮内膜ポリープを切除する手術は、入院による手術数の増加により国内で年間2万件以上実施されているものの、日帰り治療が可能な外来手術については年間5000件で頭打ちになっている。不妊治療クリニックなどでは、子宮内膜ポリープの外来手術に対するニーズはあるものの、従来の高価で広い設置スペースが必要な子宮鏡システムは外来手術には不向きなこともあって件数が増えていなかった。
オペラスコープを使えば、子宮鏡システムを導入することなく子宮内膜ポリープの外来手術を行えるため、不妊治療クリニックを中心に提案活動を進めていく。これによって、年間5000件程度の子宮内膜ポリープの外来手術数そのものを1万件にまで増やすことで、事業規模の拡大につなげたい考えだ。また、子宮鏡などでの確認を行わない子宮腔内掻把術による子宮内膜ポリープ切除術も年間3万件ほど行われており、これをオペラスコープによる手術に置き換えていくことも可能としている。
テルモでオペラスコープを手掛けるのが、メディカルソリューションズカンパニー傘下のMIS/Women's Healthグループ(MISW)である。同グループ ディレクターの北村圭子氏は「MISWの主力商品は、開発に14年をかけ、2016年に実用化したスプレー型癒着防止材のアドスプレーである。それまでテルモでは腹部〜骨盤向けの商材はなかったが、アドスプレーによってその領域に進出することができた。現在アドスプレーは年間売上高で30億円の規模にまでなっている」と語る。
アドスプレーの診療科別売り上げ比率では婦人科が65%を占めている。婦人科からの支持が厚いアドスプレーを中核事業として展開してきたこともあり、2022年の組織名称変更の際に低侵襲を意味するMISにWomen's Healthを加えてMISWとなった。「アドスプレーの価値の最大化に加えて、シナジー効果のある婦人科ポートフォリオを創造していく。今回のオペラスコープはその第1弾になる。現在、両手で数えられる範囲内でラインアップ拡充に向けたプロジェクトを走らせているが、2026年度をめどとした中期経営計画の中では片手で数えられる範囲内でラインアップを追加したいと考えている」(北村氏)という。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 人工血管とステントグラフトを融合、胸部大動脈疾患の治療をより低侵襲に
テルモは、胸部大動脈疾患の治療で使用する、人工血管とステントグラフトを組み合わせたハイブリッド型の製品であるフローズンエレファントトランク「Thoraflex Hybrid」の国内販売を開始する。 - 医総会博覧会では内視鏡とカテーテルの手術を体験できる?
オリンパスとテルモは「日本医学会総会2023東京 博覧会」に出展。内視鏡やカテーテルの体験コーナーを中心に一般来場者向けの展示を展開している。 - 全血から血液製剤を自動製造するシステムがFDA認証を取得
テルモの米国子会社Terumo BCTの血液自動製剤システム「Reveos」が、FDAの認証を取得した。全血から血小板製剤などの血液製剤を自動製造するシステムで、血小板製剤の安定供給を目指し、米国内の血液センターに拡販していく。 - 血管を確保しやすい留置針の新モデルを発売
テルモは、留置針「サーフロー」シリーズの新モデル「サーフローZERO」を発売した。独自開発した「3D針」を採用し、穿刺時に血管を捉えやすくなるため、医療従事者と患者双方の負担を軽減する。 - 手首から下肢にアプローチするカテーテル手技の安全性と有効性を確認
テルモがスポンサーをする臨床試験で、下肢の複雑な末梢動脈疾患において、手首の内側にある橈骨動脈から下肢の末梢動脈にアプローチをするカテーテル手技が検証され、安全性と有効性が確認された。 - 注射針と同等サイズの極細ディスポーザブル内視鏡を開発
慶應義塾大学とエア・ウォーターは、GI型POF技術を応用した極細硬性内視鏡を開発した。外径0.1〜0.5mmのGI型POFレンズを内視鏡の先端に設置し、低侵襲で関節内部を観察できる。