手首から下肢にアプローチするカテーテル手技の安全性と有効性を確認:医療機器ニュース
テルモがスポンサーをする臨床試験で、下肢の複雑な末梢動脈疾患において、手首の内側にある橈骨動脈から下肢の末梢動脈にアプローチをするカテーテル手技が検証され、安全性と有効性が確認された。
テルモは2022年10月11日、下肢の複雑な末梢動脈疾患において、手首の内側にある橈骨(とうこつ)動脈から下肢の末梢動脈にアプローチをするカテーテル手技(Radial to Peripheral:R2P)の安全性と有効性が確認されたことを発表した。
末梢動脈疾患におけるR2Pの安全性と有効性、1年後の成績を検証した多施設共同単群前向き試験による検証結果だ。テルモがスポンサーを務め、2020年6月29日〜2021年6月24日に米国の医療機関8施設で治療を受けたRutherford分類2〜5の末梢動脈疾患患者120人が登録された。
R2Pを用いて、病変部のバルーンカテーテルによる拡張術やステント留置術を受けた全ての患者において、穿刺部からの出血や手先の虚血など橈骨動脈穿刺に関連する重篤な合併症は発生せず、R2Pの安全性が確認された。
また、橈骨動脈から末梢動脈の病変部へのアプローチは全ての患者で成功した。92.3%の患者は、治療当日に退院している。1年後の評価では、テルモのステント「R2P Misago」を用いて留置術を実施した患者のうち、再治療が必要だったのは2人だった。
R2Pはこれまでに、心臓カテーテル治療での有効性を期待できる結果が示されていた。下肢の末梢動脈疾患は、脚の動脈が狭窄または閉塞してしまった状態で、従来の治療法では、脚の付け根からアプローチする。
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