注射針と同等サイズの極細ディスポーザブル内視鏡を開発:医療機器ニュース
慶應義塾大学とエア・ウォーターは、GI型POF技術を応用した極細硬性内視鏡を開発した。外径0.1〜0.5mmのGI型POFレンズを内視鏡の先端に設置し、低侵襲で関節内部を観察できる。
慶應義塾大学は2023年4月25日、エア・ウォーターと共同で、GI型POF(屈折率分布型プラスチック光ファイバー)技術を応用した、極細硬性内視鏡を開発したと発表した。外径0.1〜0.5mmのGI型POFレンズを内視鏡の先端に設置し、低侵襲で関節内部を観察できる。
極細硬性内視鏡は、慶應義塾大学が発明したGI型POFと、8K内視鏡システムの開発実績を持つエア・ウォーターグループのレンズ製造技術を組み合わせて開発。GI型POFに平行光線を入射すると、光はファイバー内で凸レンズを通過するように1点に収束し、それを繰り返しながら伝送する。
平行光線が1点に集まるという現象は、凸レンズ作用を持つということを示す。そのためGI型POF内を伝送していく光は、ファイバー軸に沿って複数のレンズが並んだリレーレンズ内を伝送することに相当する。このレンズ作用を持つGI型POFは、リレーレンズと同様に、反対側に物体のイメージを結像させることができる。屈折率分布を高精度に制御すれば、高精細な画像伝送が可能だ。
患部へ挿入する先端の極細レンズ部には、太さ18ゲージの注射針と同等の外径1.25mmの外筒管に、外径0.5mmのGI型POFレンズを内蔵する。この極細レンズ部に、CMOSセンサーを搭載したペン型カメラ部を連結している。
極細レンズ部は低コストで製造できるため、医療用注射針のように単回での利用が可能だ。太さも注射針と同等で、局所麻酔下でも使用できる。使用後に縫合の必要がないため、外来や処置室などでの内視鏡検査も可能になる。
今後は2024年の実用化を目指し、試作機の改善や前臨床評価を進める。また、整形外科領域以外への応用、治療用途にも適用を拡大していく。
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