ヘパリン類似物質が外部刺激による肌のバリア機能低下を抑えることを確認:医療技術ニュース
大正製薬は、ヘパリン類似物質が肌細胞同士をつなぐ接着因子の発現を促進し、紫外線や洗浄剤などの外部刺激による表皮構造の乱れやバリア機能の低下を抑制することを確認した。
大正製薬は2023年4月18日、ヘパリン類似物質が肌細胞同士をつなぐ接着因子の遺伝子発現を促進し、紫外線や洗浄剤などの外部刺激による表皮構造の乱れやバリア機能低下を抑制することを確認したと発表した。また、ヘパリン類似物質と他の有効成分を組み合わせることで、その作用がより高まることも発見した。
皮膚がバリア機能を発揮する因子の1つに、接着斑と呼ばれる細胞同士を強固につなぐ構造がある。培養表皮モデルを用いた実験では、紫外線や洗浄剤、有機溶媒、乾燥などの外部刺激により、接着斑の主要因子であるデスモグレイン1(DSG1)が大幅に減少。外部刺激にさらされた表皮モデルの表皮構造は乱れ、皮膚のバリア機能は低下していた。
ヘパリン類似物質の接着因子への作用を調べるために、ヒト表皮角化細胞を用いて検討したところ、ヘパリン類似物質がDSG1遺伝子の発現を促進することが明らかとなった。また、培養表皮モデルを用いた実験からは、ヘパリン類似物質により、外部刺激による表皮構造の乱れや皮膚バリア構造の低下が抑制されることも分かった。
さらに、ヘパリン類似物質と他の有効成分であるアラントインおよびトコフェロール酢酸エステル、またはグリチルリチン酸ジカリウムと組み合わせることで、DSG1の発現はより高まった。
大正製薬は、ヘパリン類似物質について20年以上にわたり研究を続けている。ヘパリン類似物質は、吸水能や保水能を持ち、細胞間脂質のラメラ構造に働くことなどが知られているが、どこに作用するかについての知見は多くはなかった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 背中をムラなく冷やす、空調機開発の知見を応用した冷却装置搭載バックパック
富士通ゼネラルは、冷却装置を搭載したビジネスバックパック「コンディショニングバックパック」の先行予約受付を開始した。 - オリンパス相模原物流センターにおける自動倉庫導入の舞台裏(前編)
オリンパスの主力国内物流拠点である相模原物流センターは自動倉庫導入により業務効率化を果たした。本稿では、自動倉庫導入の背景や自動倉庫システムと併せて取り入れた工夫、プロジェクトの進め方などについて前後編に分けて紹介する。 - 顔写真付きで検温結果をカラー印刷するラベルソリューションを発売
OKIとダイワコンピューテックは、検温結果を顔写真付きでラベルにカラー印刷できる「検温ラベルソリューション」を発表した。ラベルは約9秒で印刷完了し、衣類に貼り付けて入館証や参加証として利用できる。 - 運転復帰をサポート、医療機関向けのドライビングシミュレーター発売
ホンダは、医療機関向けの本格ドライビングシミュレーター「DB型Model-A」を発売した。医療機関のリハビリテーションプログラムなどでの活用を想定しており、運転復帰を目指す患者の運転能力の評価をサポートする。 - 運転中の認知処理を支援するインタフェースの有用性を確認
アラヤと本田技術研究所は、fMRIを用いて運転中の脳活動から安全運転に関わる部位を特定し、AIを活用して危険因子を運転手に知らせるシステムの実証実験を実施した。 - スマートコンタクトレンズに搭載可能な新しい無線回路を開発
早稲田大学は、スマートコンタクトレンズなどにも搭載できる、新しい原理の無線回路「パリティ時間対称性共振結合回路(並列接続)」を開発した。センサー感度が2000倍に改善し、涙中糖度や皮膚を介した血中乳酸を無線計測できる。