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運転中の認知処理を支援するインタフェースの有用性を確認:医療技術ニュース
アラヤと本田技術研究所は、fMRIを用いて運転中の脳活動から安全運転に関わる部位を特定し、AIを活用して危険因子を運転手に知らせるシステムの実証実験を実施した。
アラヤは2023年4月10日、本田技術研究所と共同で、運転中の脳活動から安全運転に関わる部位を特定し、AI(人工知能)を活用して危険因子を運転手に知らせるシステムの実証実験を実施したと発表した。
運転中の脳内メカニズムは、量子科学技術研究開発機構の支援を受けて、fMRI(機能的磁気共鳴イメージング)に対応した運転シミュレーターを用いて調べた。
fMRI内で運転シミュレーターを操作する参加者の脳活動と視線を測定したところ、安全運転に関してリスクの低いドライバーと一般的なドライバーでは、脳の楔前部と呼ばれる部分に顕著な活動の差が見られた。
安全運伝に関してリスクの高いドライバーは空間認識力が低く、危険が見えていないため、予測できないことがリスク要因であることが分かった。また、リスクの判断は、経験した記憶や知識を元にしていた。
本田技術研究所は、安全運転のために必要な認知処理を補完し、運転手を支援するHMI(ヒューマンマシンインタフェース)を構築。車両の前部と5つのディスプレイから成る運転シミュレーターを用いて有効性を検証したところ、HMIは高リスクな対象物を早期に認知、回避する効果が示された。
安全運転にインスピレーションを与える情報処理支援システムを活用することで、一般的なドライバーもより安全に運転できるようになる。両社は今後、より多くの人が安全に運転できるように開発を進めていく。
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