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人工血管とステントグラフトを融合、胸部大動脈疾患の治療をより低侵襲に医療機器ニュース(1/2 ページ)

テルモは、胸部大動脈疾患の治療で使用する、人工血管とステントグラフトを組み合わせたハイブリッド型の製品であるフローズンエレファントトランク「Thoraflex Hybrid」の国内販売を開始する。

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 テルモは2023年7月4日、東京都内で会見を開き、胸部大動脈疾患の治療で使用するフローズンエレファントトランク(FET)「Thoraflex Hybrid(ソラフレックスハイブリッド)」の日本国内での販売を開始すると発表した。FETは、人工血管とステントグラフトを組み合わせたハイブリッド型の製品であり、胸部の大動脈瘤や大動脈解離の治療をより低侵襲に行えるとともに手術時間の短縮を見込めることが特徴。同月1日の保険適用を受けての国内販売開始となる。現在、国内でのFETを用いた症例は年間約4000あり、このうち約半分でThoraflex Hybridの採用を目指す。

テルモの「Thoraflex Hybrid」
テルモの「Thoraflex Hybrid」。上側がデリバリーシステムを装着した状態で、下側がステントグラフトを展開するなどデリバリーシステムの使用後の状態となる[クリックで拡大]
「Thoraflex Hybrid」が胸部大動脈疾患の患部に適用された状態のイメージ
「Thoraflex Hybrid」が胸部大動脈疾患の患部に適用された状態のイメージ[クリックで拡大]

 胸部の大動脈瘤や大動脈解離の治療では、高侵襲の外科手術となる人工血管置換術以外にも、鼠径部からステントグラフトを内挿すること低侵襲に済ませられる血管内治療を選択できることも多い。しかし、胸部大動脈に瘤や解離が広範囲にできてしまった場合には、開胸により弓部大動脈を、脇腹を開く形での開腹により下行大動脈を治療するという高侵襲かつ長時間の外科手術が必要になってしまう。

 そこで、人工血管とステントグラフトを融合したThoraflex Hybridを用いれば、開胸手術のみで広範囲の胸部大動脈疾患を治療できるようになる。Thoraflex Hybridの人工血管部分はテルモが長年販売してきた実績のあるポリエステル製のGelweave人工血管を用いており、ステントグラフト部分は独立したニッケルチタン合金製のリングを織布に縫い付けることで大動脈の走行に柔軟に追従するよう設計されている。

人工血管部の特徴
人工血管部の特徴[クリックで拡大] 出所:テルモ

 人工血管とステントグラフトの間には、生体血管との吻合が容易になる吻合部狭窄しにくいカラーを備えている。さらに、弓部大動脈を置換する人工血管部分は4本の分枝を備えており、弓部大動脈につながる血管との吻合もしやすい。

ステントグラフト部の特徴
ステントグラフトの特徴[クリックで拡大] 出所:テルモ

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