ロータリーエンジンで発電するPHEVの「MX-30」、日本では11月発売:電動化
マツダはプラグインハイブリッド車「MX-30 Rotary-EV」の予約受注を開始した。
マツダは2023年9月14日、プラグインハイブリッド車(PHEV)「MX-30 Rotary-EV」の予約受注を開始したと発表した。ロータリーエンジンは発電機に使用し、モーターの駆動力で走行するシリーズ方式を採用した。同年11月の発売を予定している。税込みメーカー希望小売価格は423万5000〜491万7000円。
MX-30はマツダの電動化を主導するモデルと位置付けられており、これまでに電気自動車(EV)やマイルドハイブリッド車を設定してきた。今回、EVの使い方を拡張する電動車としてPHEVを設定した。
MX-30 Rotary-EVはエンジンを使わないEV走行距離が107kmで、日常の幅広い場面でEVとして使えるという。ロータリーエンジンが発電することでさらに長距離を走行できる。できるだけ長くEV走行を続ける「EVモード」、エンジンの発電を生かして走りの良さを提供する「ノーマルモード」、必要なバッテリー残量を確保する「チャージモード」の3つの走行モードも備える。
ロータリーエンジンは発電用に新たに開発した。排気量は830ccで最高出力は53kWだ。燃料の直噴化や燃焼室の形状最適化により低エミッション化を図った。また、サイドハウジングのアルミ化によりエンジン単体で15kg以上軽量化した。
1ローター化により省スペースで必要な出力性能を発揮できる特徴を生かして、モーターやジェネレーターと同軸上にレイアウトして搭載した。駆動用バッテリーとなるリチウムイオン電池の容量は17.8kWhで、燃料タンクの容量は50l(リットル)となる。モーターは最大出力が125kW、最大トルクが260Nmで、コンパクトな構造で高出力を実現したとしている。
普通充電と急速充電の両方に対応した他、荷室では最大1500Wの給電を利用できる。また、V2H(Vehicle to Home)も利用可能だ。バッテリーが満充電でガソリンタンクが満タンの場合、一般的な家庭で約9日分の電力を供給できる。
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