“人間らしさ”をテーマに課題解決に取り組むデザイン会社「きいちのメモ」設立:デザインの力(2/2 ページ)
デザイン起業家の守屋輝一氏は“人間らしさ”をテーマに社会課題を解決するデザイン会社「株式会社きいちのメモ」を設立した。デザイナーとしての具現化能力を生かした社会課題解決型プロジェクトの企画、開発、事業化などに取り組む。
今後の展開と第2弾事業について
既に、同社は会社設立に先立ち、2022年9月から子どもの遊びに優しい東京を実現するTOKYO PLAYと連携し、PORTABLE PARKをウクライナ戦争避難児童を支援するポーランドの団体に提供しており、現地の子どもたちから高い支持を得ているという。また、国内のおいては、北沢おせっかいクラブが下北沢の「BONUS TRACK」で実施している地域プロジェクトにPORTABLE PARKを提供するなど、複数箇所でのテスト展開も実施している。
きいちのメモ設立説明会の登壇者。左から散歩社 BONUS TRACK 企画統括マネージャーの桜木彩佳氏、きいちのメモ 代表取締役の守屋輝一氏、北沢おせっかいクラブ 代表理事の斎藤淳子氏、TOKYO PLAY 代表理事の嶋村仁志氏[クリックで拡大] 出所:きいちのメモ
今後、同社はPORTABLE PARKの国内での本格展開に向け、児童施設や教育施設に加えて、商業施設や音楽フェス、スポーツチームのキッズデーなど、本来遊び以外の目的で多くの人が訪れる場所に、子どもたちのための遊びの場を提供していく。また、TOKYO PLAYと連携してプレイワーカー(自由な遊びづくりの専門家)による、より優れた遊びの効果を引き出す場づくりや遊びの価値の定量化を進める研究にも取り組んでいくという。
2023年7月3日に行われた会社設立説明会では、PORTABLE PARKに続く第2弾事業として、子どもの自転車ライフを守るカギ「PROLO」を発表。PROLOは自転車利用時のヘルメット着用について“仕組み”で解決することを狙うプロダクトで、ヘルメットに装着する「ヘルメットパーツ」と、自転車の鍵部分に取り付ける「ロックパーツ」により、ヘルメットを着用すると自転車の鍵を解錠できる仕組みを提供する。
「PROLOについては、2023年中の事業開始を目指し、開発を進めている。より詳しい機能や最新の製品仕様などに関する情報は、2023年9月の交通安全週間の前後に公開する予定だ」(守屋氏)
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