ブリヂストンが使用済みタイヤのリサイクル熱分解試験を開始:リサイクルニュース
ブリヂストンは、イノベーション拠点「Bridgestone Innovation Park(東京都小平市)」内に実証機を導入し、使用済タイヤを熱分解することによって分解油や再生カーボンブラックを生成する取り組みを開始したと発表した。
ブリヂストンは2023年6月8日、使用済みタイヤの精密熱分解(油化)によるケミカルリサイクル技術の社会実装に向け、イノベーション拠点「Bridgestone Innovation Park(東京都小平市)」内に実証機を導入し、使用済タイヤを熱分解することによって分解油や再生カーボンブラックを生成する取り組みを開始したと発表した。
この取り組みは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/CO2を用いたプラスチック原料製造技術開発」において実施する2つの研究開発テーマのうちの1つであり、ENEOSと進めている共同プロジェクトだ。高機能ゴムなどの高分子素材の設計技術を持つブリヂストンが精密熱分解の技術を、原油精製技術や基礎化学品製造に関する基盤技術を持つENEOSが精密熱分解して得られる分解油からブタジエンなどを精製する技術をそれぞれ研究/開発し、共創を進めている。
今回の実証機の導入は、使用済みタイヤを精密熱分解して得られる分解油をリサイクルオイル化し、このオイルから合成ゴムの素原料であるブタジエンなどの化学品を高収率に製造するケミカルリサイクル技術の社会実装に向けた実証実験を行うために実施した。今後、2030年までに量産を想定した大規模実証を予定しており、実証機の導入はその第一歩となる。
ブリヂストンは、サステナビリティを経営の中核に据え、ビジョン「2050年 サステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値/顧客価値を持続的に提供している会社へ」を掲げ、生物多様性の損失を止め回復軌道に乗せるネイチャーポジティブ(自然再興)への貢献を見据えて、「断トツ商品」を「創って売る」「使う」「戻す」といったバリューチェーン全体でカーボンニュートラル化、サーキュラーエコノミーの実現とビジネスを連動させる独自のサステナビリティビジネスモデルを進化させているという。使用済みタイヤのケミカルリサイクルは、2050年に100%サステナブルマテリアル化を目標とするサーキュラーエコミー実現に向けた重要な施策の1つだ。
同社は、さまざまなパートナーとの共創を通じて、使用済みタイヤを「資源」としてゴムや原材料に「戻す」リサイクル事業の事業化にも取り組んでいる。2022年4月には、この共創を呼びかける活動を、タイヤを「EVERな(常に/ずっと/永遠に続く)タイヤ」として循環させていく、という思いを込めて「EVERTIRE INITIATIVE」としてスタートさせた。
タイヤを原材料に「戻す」共創活動を通じて、企業コミットメント「Bridgestone E8 Commitment」で掲げる「Ecology:持続可能なタイヤとソリューションの普及を通じ、より良い地球環境を将来世代に引き継ぐこと」「Energy:カーボンニュートラルなモビリティ社会の実現を支えること」を実現していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ブリヂストンのソフトロボティクスに目が宿る、物流ピースピッキング自動化を加速
ブリヂストンは、ロボットの「指」となる部分にゴム人工筋肉を搭載したソフトロボットハンドを展開するソフトロボティクス事業について説明するとともに、知能ロボットシステムを手掛けるアセントロボティクスとの資本業務提携を発表した。 - ゴム人工筋肉のしなやかさに宿る生命感、ブリヂストンのソフトロボティクスが始動
ブリヂストンは、「国際物流総合展2022」において、ゴム製の人工筋肉(ラバーアクチュエーター)を用いたソフトロボットハンドの新たなデモンストレーションを披露した。 - ブリヂストンは“強いリアル”とDXで技術イノベーション、東京・小平を再開発
ブリヂストンは、2020年7月に発表した中長期事業戦略構想「Bridgestone 3.0」で重要な役割を果たす技術イノベーションの方向性について説明。ブリヂストン技術センターや東京工場が位置する東京都小平市の拠点を再開発し、新たなイノベーション拠点となる「Bridgestone Innovation Park」を開設する。 - ブリヂストンがウレタンマスクを生産開始、国内従業員向けに週10万枚
ブリヂストンと同社グループのブリヂストン化成品、ブリヂストンケミテックは、新型コロナウイルス感染症の影響による国内のマスク不足緩和に貢献することを目的に、ウレタンを用いた簡易マスクの生産を開始した。国内のブリヂストングループに勤務する従業員向けとなる。生産能力は週10万枚を予定。 - 油圧ならトン単位の力も出せる、ブリヂストンのゴム人工筋肉
ブリヂストンは、「Japan Robot Week 2018」において、アシストスーツや歩行トレーニング装置などに最適な空気圧式ゴム人工筋肉を展示した。 - 燃費が良くなるタイヤの新材料、ブリヂストンと花王が共同開発
ブリヂストンは、新たなタイヤ用ゴム材料を花王と共同開発したと発表。ブリヂストンの基盤技術「ナノプロ・テック」と、花王の界面制御技術の組み合わせにより、シリカを従来より多く含ませることのできるゴム材料の開発が可能になった。燃費性能やウェットグリップ性能を高めたタイヤの開発に貢献できるという。