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ブリヂストンのソフトロボティクスに目が宿る、物流ピースピッキング自動化を加速産業用ロボット(1/2 ページ)

ブリヂストンは、ロボットの「指」となる部分にゴム人工筋肉を搭載したソフトロボットハンドを展開するソフトロボティクス事業について説明するとともに、知能ロボットシステムを手掛けるアセントロボティクスとの資本業務提携を発表した。

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 ブリヂストンは2023年2月1日、同社のイノベーション拠点「Bridgestone Innovation Park」(東京都小平市)で会見を開き、ロボットの「指」となる部分にゴム人工筋肉(ラバーアクチュエータ)を搭載したソフトロボットハンドを展開するソフトロボティクス事業について説明するとともに、知能ロボットシステムを手掛けるアセントロボティクスとの資本業務提携を発表した。ブリヂストンからアセントロボティクスへの出資金額は5億円で、モビリティ分野以外でのベンチャーへの出資は初めて。“いい感じ”にモノをつかめるブリヂストンのソフトロボットハンドを「手」、アセントロボティクスのAI(人工知能)ソフトウェア群を「目」と「頭脳」として、物流倉庫におけるピースピッキングの自動化に向け、早ければ2024年度からの本格的な事業化を目指す。

アセントロボティクスの久夛良木健氏(左)とブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズ CEOの音山哲一氏(右)
アセントロボティクス 代表取締役兼CEOの久夛良木健氏(左)とブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズ CEO 兼 探索事業開発第1部門長の音山哲一氏(右)。両氏の間にある協働ロボットの先端に装着されているのが現行デザインのソフトロボットハンドだ[クリックで拡大]
ブリヂストンのソフトロボットハンドとアセントロボティクスのAIソフトウェアを用いたピースピッキング自動化のデモ[クリックで再生]

 ソフトロボティクス事業を主導するブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズ CEO 兼 探索事業開発第1部門長の音山哲一氏は「当初、2024年1月を目標に社内ベンチャー第1号としての発足を目指していたが、2022年9月開催の『国際物流総合展2022』での出展で物流業界における事業展開に大きな手応えを感じ、当社 グローバル CEOの石橋(秀一氏)の理解も得た上で、1年前倒しとなる2023年1月に事業をスタートすることとなった」と語る。

 音山氏が、今回の資本提携を発表したアセントロボティクス 代表取締役兼CEOの久夛良木健氏と出会ったのは2021年8月のことだ。久夛良木氏は、ゴム人工筋肉がむき出しのままのプロトタイプを使ったソフトロボットハンドの特徴についての説明を受けた際に、「以前から人工筋肉に可能性を感じていたが『ついに来たか』と感じた。その一方で、このプロトタイプのままでは良さが伝わりづらいと思い、インダストリアルデザインの重要性を伝えた。ブリヂストンという大手企業ということもあり、デザイン変更には時間がかかるだろうと思っていたら、あっという間にデザインを仕上げてきた。このスピード感はベンチャーにとって重要なことで、ここが互いに良い関係を作り上げるきっかけになった」と述べる。

ゴム人工筋肉がむき出しのままのプロトタイプ
音山氏が久夛良木氏への説明に使ったゴム人工筋肉がむき出しのままのプロトタイプ[クリックで拡大]
久夛良木氏の助言を受けて仕上げたデザイン
久夛良木氏の助言を受けて仕上げたデザインは「2022国際ロボット展」で出展したものとほぼ同じ[クリックで拡大]

 その後両社は、2022年3月開催の「2022国際ロボット展」に共同出展するなど連携を深めており、今回の資本提携によって物流倉庫におけるピースピッキングの自動化における事業化を加速させたい考え。音山氏は「モビリティ分野以外でのベンチャーへの出資は当社としても初めてで、社内でもかなりチャレンジングなこととして受け止められているが、両社でさまざまな可能性を広げていけると思う」と意気込む。久夛良木氏も「互いに熱い思いを持って、両社のエンジニアが入り乱れてフラットに議論ができている関係性がとてもいい。今回、資本提携という形でコミットメントが得られたこともうれしい。20〜30年かけて進んできたロボットによる自動化をもっとフレキシブルにしていきたい」と強調する。

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