ラベル素材メーカー大手の挑戦、自動運転や半導体向けのシートとモジュールを開発:新機能材料展2023(2/2 ページ)
ラベル素材メーカーのリンテックは、2022年に設立した「Welsurt」で、自動車の自動運転や半導体、介護業界向けソリューションの開発を進めている。
厚さ0.6mmのペルチェモジュールとは?
薄型軽量ペルチェモジュールは、厚さ0.6mmの軽量タイプで、スマートフォンやPC内部などの狭所に搭載でき、最大級熱量(Qcmax)が高く、デジタルデバイスの熱マネジメントやウェアラブルデバイスの冷却で役立つ。ペルチェモジュールとは、電流を流すと吸熱/冷熱が起こるペルチェ素子を用いて熱制御を行うモジュールのことである。
CNTウェアラブルセンサーは、糸状にしたカーボンナノチューブを伸縮性のある繊維に編み込んだセンサーで、軽く繰り返しの使用に耐えられるだけでなく、アプリケーションやソフトウェアと連動することで、手、肘、膝の動きを検知できる。
用途としては、介護施設で役立つ意思伝達ツールやアミューズメント施設などの動作検知ツールを想定している。一例を挙げると、介護施設に入居する、会話が困難な対象者がCNTウェアラブルセンサーを装着し、専用のソフトウェアと連携することで、手の動きで職員に意思伝達などが行える。
Welsurtは、リンテックが持続可能な社会の実現を目指し、2022年に立ち上げたブランドで、「省エネルギー」「創エネルギー」「リユース/リサイクル」「海洋資産保全」といった「環境に対するサステナビリティを促進するソリューション」だけでなく、「通信(5G/6G)」「医療/介護」「モビリティ」「産業部材」などの「社会に対するサステナビリティを促進する製品群」の開発を進めている。
「Welsurtでは、新事業の創出を目的に、リンテックがラベルの製造で培ってきた粘着塗工や抄紙、薄膜塗工、フィルム改質の技術などを生かして、国内の市場で重要性を増している自動車の自動運転や半導体、介護業界向けのソリューションを開発している。現在は、各ソリューションのサンプルを提案している状況で、一部のソリューションでは製品での採用を見据えた話し合いも進んでいる」(リンテックのブース担当者)。
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