完全自動運転=レベル4は2030年以降に実用化、ネックは法整備:自動運転技術(1/2 ページ)
現在、自動運転技術の指標となっているのが、米国運輸省の国家道路交通安全局(NHTSA)が発表している自動運転システムの自動化レベル分類である。この分類で最高レベルとなるレベル4、乗員が行き先を決めるだけで運転操作を全く行う必要のない完全自動運転システムが実用化されるのは2030年以降になりそうだ。
現在、自動運転技術の指標となっているのが、米国運輸省の国家道路交通安全局(NHTSA)が発表している自動運転システムの自動化レベル分類である。自動車を運転するドライバーへの運転支援の度合いによって、レベル0〜レベル4までの5段階に分かれている。
- レベル0:運転支援なし(どのような運転操作の場面でもドライバーに対して運転支援を行うシステムを搭載していない)
- レベル1:1種類の運転操作を支援するシステム(横滑り防止装置、自動ブレーキなど)を搭載
- レベル2:2種類以上の運転操作を支援する高度なシステム(車線維持=ステアリング操作とオートクルーズコントロール=加減速を1つのシステムで同時実現)を搭載
- レベル3:条件付き自動運転システム(駐車場内や高速道路内など限定された交通条件で可能な自動運転)
- レベル4:完全自動運転システム(乗員が行き先を決めるだけで、運転操作を全く行う必要のない自動運転)
ちなみにNHTSAは、Googleが開発を進めている自動運転車について、レベル3の条件付き自動運転システムの代表例としている。Google自身が目標としているのはレベル4の完全自動運転だが、現在公道走行試験などを行っている自動運転車については、NHTSAからレベル3として捉えられているということだ。
レベル1の自動運転システムは2020年に5000万台が搭載
矢野経済研究所は2015年7月13日、このNHTSAが定める自動化レベル分類に基づき、2030年までの自動運転システムの市場調査結果を発表した。対象となったのは、乗用車と車両重量3.5トン以下の商用車に搭載される自動運転システムである。
同調査によると、2015〜2017年にかけて、まずレベル2の自動運転システムの搭載が進み、その後2018年ごろにレベル3の自動運転システムが実用化されるとしている。一方、乗員が行き先を決めるだけでそれ以降の運転操作を全て行ってくれる、完全自動運転システム=自動運転システムのレベル4は、技術的ハードル、事故責任の所在、法整備などを考えると2030年以降の実用化になると想定している。
レベル1の自動運転システムは、日本でも2013年ごろから急速に普及が進み始めたタイプの運転支援システムを指す。日本では2014年後半から2015年にかけて、トヨタ自動車が「Toyota Safety Sense」、ホンダが「Honda SENSING(ホンダ センシング)」などの新規開発システムの採用を始めている。さらに、低価格の運転支援システムで先行して市場を切り開いてきた軽自動車メーカーも、ダイハツ工業が「スマートアシストII」、スズキが「デュアルカメラブレーキサポート」などと、より高機能の第2世代システムの展開を開始した。
欧州の自動車メーカーも、Volkswagen(フォルクスワーゲン)グループやDaimler(ダイムラー)、BMWなどが運転支援システムの標準設定を進めている。これら各社の取り組みも相まって、2020年にはレベル1の自動運転システムの搭載台数は世界全体で4984万8000台に拡大するという。
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