日産の自動運転技術は2020年までに3段階で進化、まずは渋滞時の自動運転から:安全システム
日産自動車は、2020年までに実用化するとしていた自動運転技術の投入スケジュールを発表した。2016年末に渋滞中の高速道路で自動運転を可能にする「トラフィック・ジャム・パイロット」と自動駐車システムを、2018年に複数レーンを使った自動運転技術を、そして2020年までには交差点での運転操作が不要な自動運転技術を導入する方針だ。
日産自動車は2014年7月17日、同社が2020年までに実用化するとしていた自動運転技術の投入スケジュールを発表した。
同社は、ドライバーの運転操作が一切不要な完全な自動運転についての初期実験を進めている。ただし、今回投入スケジュールを発表した自動運転技術は、限定された条件の下で自動運転を可能とするもので、高度運転支援システムと呼ばれているものに近い。
同社社長兼CEOのカルロス・ゴーン氏は、日本外国特派員協会でのスピーチで、2016年末、2018年、2020年までの3段階に分けて自動運転技術の市場導入を進めて行くと説明。まず2016年末までに市場導入するのは、混雑した高速道路上で安全な自動運転を可能にする「トラフィック・ジャム・パイロット」と運転操作が不要な自動駐車システムである。次に、2018年には、危険回避や車線変更を自動的に行える、複数レーンを使った自動運転技術を導入する。そして、「2020年までに、ドライバーの操作介入なしに、十字路や交差点を自動的に横断できる交差点での自動運転技術を導入する予定」(ゴーン氏)である。
自動運転やEVの需要を促進させる4つの動向
さらにゴーン氏は、今回説明した自動運転や電気自動車に代表されるゼロエミッション車の需要は、4つの主要な動向によって促進されると主張した。
1つ目の動向は、世界的なメガシティの台頭である。1000万人以上の人口を有するメガシティでは、渋滞の緩和、排出ガスの低減、交通の改善の必要性がより高まる。
2つ目の動向は、デジタル世代の高い期待に見合う、もしくはそれを上回る、自動車における通信接続(車載コネクティビティ)の需要の高まりである。ゴーン氏は、「私たちのクルマは、デジタル世代が日々頼っているスマートフォンやタブレット端末と同様に、コネクトされたものでなければない」と強調。また、「2015年までに150万台以上の日産車が通信接続されるようになることを期待している」とも述べた。
3つ目の動向は、高齢者人口の世界的な増加である。高齢者は、より長く、安全な運転を可能にしてくれる技術や自動運転システムを必要としている。
そして4つ目の動向は、ジェンダーダイバーシティの容認である。「これは、女性が消費者、購入者、意思決定者であり、自動車産業全体を統括するマネージャーのような重要な役割を担っている認識がされていることを意味している」(ゴーン氏)という。
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