日産が2020年までに発売する自動運転車、「入手可能な価格で複数車種を用意」:安全システム
日産自動車は、2020年までに自動運転技術を搭載した車両を量産販売する準備が整ったと発表した。一般消費者が入手可能な価格で複数車種を用意する方針。自動運転車の試作車のデモ動画も公開されている。
日産自動車は2013年8月27日(米国時間)、米国カリフォルニア州アーバインで開催中の自社イベント「NISSAN360」において、2020年までに自動運転技術を搭載した車両を量産販売する準備が整ったと発表した。試作車を官公庁などに限定的に販売するのではなく、一般消費者が入手可能な価格で、複数車種の自動運転車を用意するとしている。
NISSAN360では、電気自動車(EV)「リーフ」に自動運転技術を組み込んだ試作車を公開した。試作車には、車両の周囲を検知するレーザースキャナーや、車両の前後左右に搭載した4個の車載カメラを使って車両を上から見た状態で周囲の状況を確認できる「アラウンドビューモニター」といったさまざまなセンサーとともに、これらのセンサー情報を基に周辺環境に対応した運転判断を下すための制御装置と、制御装置の決定を運転操作として反映するためのアクチュエータを搭載している。
日産自動車は、東京大学、産業技術総合研究所、マサチューセッツ工科大学、スタンフォード大学、オックスフォード大学、カーネギーメロン大学など国内外の大学/研究機関と自動運転技術の開発を進めてきた。2012年10月の「CEATEC JAPAN 2012」では、限定的な自動運転機能を搭載したリーフベースのコンセプトカー「NSC-2015」を公開している(関連記事:PC10台分の処理装置で自動運転を実現、日産が2015年の実用化目指す「NSC-2015」)。今回公開した試作車には、これらの研究開発の成果が反映されている。
また、2015年3月までには、日本国内に自動運転車専用のテストコースを建設する計画である。日本では自動運転車の公道走行が許可されていないため、実際の市街地と同様の街並みをテストコース内に実現することによって、自動運転車の開発を加速させる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 自動運転についてロボットとセンサーの視点から考える
最近になって「自動運転」という言葉を聞く機会が増えている。しかし、話題が先行するばかりで、その課題がいまひとつはっきりしていないように見受けられる。そこで、自動車メーカーからの視点ではなく、ロボットメーカーやセンサーメーカーからの視点で、自動運転を実現させるための課題を追った。経済産業省の担当者へのヒアリング結果も併せて紹介しよう。 - PC10台分の処理装置で自動運転を実現、日産が2015年の実用化目指す「NSC-2015」
日産自動車が、「CEATEC JAPAN 2012」で公開している、自動運転機能を搭載する電気自動車(EV)「NSC-2015」。自動運転に必要な周辺認識と車両制御を行うために、PC10台分に相当する処理装置を搭載している。 - 自動運転の波はトラクターにも、ヤンマーが2017年に量産へ
ヤンマーが公開した次世代トラクターのコンセプトモデル「YT01」は、自動で運転や作業を行える機能を搭載している。自動運転というと乗用車向けに開発されている技術というイメージがあるが、YT01のような農業機械以外にも、大型トラックや建設機械でも実用化が検討されているのだ。