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自動運転の波はトラクターにも、ヤンマーが2017年に量産へ乗用車、トラック、建機に次いで

ヤンマーが公開した次世代トラクターのコンセプトモデル「YT01」は、自動で運転や作業を行える機能を搭載している。自動運転というと乗用車向けに開発されている技術というイメージがあるが、YT01のような農業機械以外にも、大型トラックや建設機械でも実用化が検討されているのだ。

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ヤンマーの次世代トラクターのコンセプトモデル「YT01」

 ヤンマーは2013年7月25日、同社の新たな方向性を示す「ヤンマープレミアムブランドプロジェクト」の一環として、次世代トラクターのコンセプトモデル「YT01」を公開した。

 日本の農業の新しい姿を提案するYT01には、従来のトラクターにはなかったデザインや機能が盛り込まれている。

 プロダクトデザインは、イタリアのスポーツカーメーカーFerrari(フェラーリ)のチーフデザイナーを務めた奥山清行氏が担当した。後方に細く絞られたボンネットや大きく丸みをおびたキャビン(操縦席)により、軽快なスタイリングを実現。加えて、業界トップクラスの視界性と快適性も備えているという。カラーリングに採用したメタリックレッドは、従来のヤンマー製品に使われてきたヤンマーレッドからさらに進化しており、「作業機としての力強さと農家のみなさまが誇りを持てる、高級感あふれる色合い」(同社)となっている。

ヤンマーの次世代トラクターのコンセプトモデル「YT01」(左)。1台のトラクターに搭乗している乗員だけで、もう1台のトラクターを自動運転で追従走行させたり、作業を行わせたりすることができるシステムを搭載している(クリックで拡大) 出典:ヤンマー

 機能面で最も注目されるのは、1台のトラクターに搭乗している乗員だけで、もう1台のトラクターを自動運転で追従走行させたり、耕運や作付けなどさまざまな作業を行わせたりすることができるシステムである。ヤンマーの中央研究所で開発中ということもあり、技術の詳細は公開されなかったが、2015年に試作機を使った実証実験を開始し、2017年には量産する計画である。

 YT01には、従来のトラクターにはなかったエアコンやオーディオシステムなども搭載されおり、農作業を快適に行えるよう配慮されている。これらの技術も、今後ヤンマーが発売するトラクターなどの農業機械に順次展開していく方針である。

乗用車だけじゃない、自動運転技術の実用化はもうすぐ?

 YT01のような自動運転技術については、Googleやトヨタ自動車、日産自動車などによる乗用車での取り組みが広く知られている。

 Googleは2010年10月に自動運転車両の開発を発表。既に十数台の車両を試作し、米国内での公道走行試験も行っている(関連記事:Google、“自動運転カー”プロジェクトを発表――既に公道で試運転中)。

 日産自動車は、「CEATEC JAPAN 2012」において、ショッピングセンターなどの敷地内における自動運転や自動駐車が可能な試作車「NSC-2015」を披露。これらの技術を、2015年までに実用化する方針を示した(関連記事:PC10台分の処理装置で自動運転を実現、日産が2015年の実用化目指す「NSC-2015」)。

 トヨタ自動車は、「2013 International CES」で、自動運転車両「AASRV(Advanced Active Safety Research Vehicle)」を発表。「あくまで運転支援技術研究の一環」(同社)としながらも、研究開発を加速させているようだ(関連記事:「あくまで運転支援技術研究の一環」、トヨタが自律走行車両の開発目的を説明)。

 自動運転技術の開発は、乗用車だけでなく、トラックや建設機械でも進んでいる。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2013年2月、大型トラックの自動運転・隊列走行に向けた研究開発の成果を公開した。複数台の大型トラックを時速80km/車間距離4mで自動運転・隊列走行させることにより、安全性と燃費を向上できる。実用化時期が2030年代以降とかなり先になるが、それまでに一部の機能が先行採用され、大型トラックの安全性を高めて行けるという(関連記事:203X年のトラックは自動運転が主流に!? 「世界トップレベル」の技術に迫る)。

 コマツは2013年4月、掘削から整地までのブレード作業を全自動化した「世界初」(同社)のICT(情報通信技術)ブルドーザーを発表。油圧ショベルの作業の全自動化にも取り組んでいる(関連記事:コマツが「世界初」のICTブルドーザーを発表、掘削から整地までを全自動化)。

 Ford Motorは2013年6月、自動運転技術によって車両の耐久試験を実施できるシステムを開発したと発表した。これは、ドライバーが不要な自動運転車両の開発が目的ではなく、テストドライバーによる運転が必要だった耐久試験の制限を取り払い、車両開発スピードを高めるためのものだ(関連記事:フォードが車両開発に自動運転技術を採用、耐久試験の運転は人間からロボットへ)。

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