「あくまで運転支援技術研究の一環」、トヨタが自律走行車両の開発目的を説明:安全システム
トヨタ自動車が「2013 International CES」に出展している自律走行車両の開発目的は、「ドライバーがいなくても走行できる車両の実現」ではなく、「ドライバーがより安全な運転を行えるようにサポートしてくれる運転助手を自動車に組み込むこと」だという。
トヨタ自動車が、米国ネバダ州ラスベガスで開催される消費者向けエレクトロニクスの総合展示会「2013 International CES(2013 CES)」(2013年1月8〜11日)に出展している自律走行車両「AASRV(Advanced Active Safety Research Vehicle)」が注目を集めている。同社は、2013 CESの開催に先駆けて1月7日(米国時間)に行った記者会見で、AASRVの開発目的を説明した。
トヨタ自動車の米国販売会社である米Toyota Motor Salesでレクサス部門のバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるMark Templin氏は、「2011年の米国のハイウェイにおける交通事故死者数は3万2000人以上にのぼった。10代の若者の死因として最も多いのも自動車衝突事故である。そして、携帯電話機を使いながらの運転による事故死者数も急増している。AASRVによる自律走行技術研究の最終目的は、こういった交通事故をなくすことにある」と語る。「多くの人々は、自律走行(autonomous)という言葉から『ドライバーがいなくても走行できる(driverless)』ということをイメージするかもしれない。しかしわれわれが意図しているのは、ドライバーがより安全な運転を行えるようにサポートしてくれる、知性と配慮を備えた運転助手を自動車に組み込むことである」(Templin氏)という。
6つのセンサー
AASRVは、自車と自車の周辺状況をさまざまなセンサーを用いて測定した結果から、加減速や転舵などによってどのような走行を行うかを決定し、バイワイヤー技術によってエンジンやステアリング、ブレーキを操作することで自律走行を実現している。
ベース車の「レクサスLS」に搭載したセンサーは6つある。1つ目は、ルーフ上部の中央に設置されている、車両の周辺に存在する定置物(動かない物体)を検知する全周囲レーザーレーダーである。検知距離は70m。
2つ目は、車両の前方、右側方、左側方にある物体を検知する3つの高品位(HD)カメラだ。車両の前方に向けたカメラは、交通信号の変化も検知できる。両側方に向けたカメラは、自車の周辺を走行する車両や近づく歩行者などを検知する。3つ目は、3つのHDカメラと同じ方向に向けたミリ波レーダーである。HDカメラとミリ波レーダーを組み合わせることで、車両の周辺にある物体の位置と速度を正確に検知できる。HDカメラとミリ波レーダーによる検知距離は150mとなっている。
ルーフの前部とフロントノーズ部にHDカメラとミリ波レーダーが設置されている。ルーフの前部のHDカメラとミリ波レーダーは、車両の前方にある車両や歩行者に加えて、交通信号の変化も検知できる。フロントノーズ部で両側方に突き出しているHDカメラとミリ波レーダーは、車両の両側方を走行する車両や近付く歩行者などを検知する。(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車
4つ目になるのが、後輪に搭載した車輪速センサーだ。これによって、自車の速度と走行距離を検知できる。5つ目はルーフに搭載した慣性センサーで、加速度センサーとジャイロによって、自車の加速度、転舵の方向と速度を検知する。最後の6つ目は、加減速や転舵を行う前に、自車の位置や走行方向を確定するのに用いる衛星測位システムである。
この他、AASRVが自律走行している映像についても、先行公開の5秒間から約1分間に拡大したものが公開されている。
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