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政府が自動運転開発方針を整理、2020年目標「ラストワンマイル自動運転」とは自動運転技術(1/3 ページ)

国土交通省と経済産業省は、共同で実施している「自動走行ビジネス検討会」で取りまとめた、自動運転技術の競争力強化に向けた産官学の具体的な協調方針を発表した。2018年までに高速道路でレベル2の自動運転を実現し、2020年ごろからバレーパーキングや隊列走行を実用化する。これを目指し、8つの協調領域で産官学が連携する。

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 国土交通省と経済産業省は2016年3月23日、両省が共同で実施している「自動走行ビジネス検討会」で取りまとめた、自動運転技術の競争力強化に向けた産官学の具体的な協調方針を発表した。2018年までに高速道路でレベル2の自動運転を実現し、2020年ごろからバレーパーキングや無人運転のトラックの隊列走行を実用化する。これを目指して8つの協調領域で産官学が連携し、日本の自動運転技術の国際競争力を確保していく。

自動走行ビジネス検討会とは

 自動走行ビジネス検討会は2015年2月に経済産業省 製造産業局長と国土交通省 自動車局長の私的勉強会として設けられた。グローバルで成長が見込まれる自動運転技術で欧米に負けない競争力を持ち、交通事故などの社会的な課題を解決していくため、産官学が参加して必要な取り組みを議論している。同会には、国内自動車メーカーや日系ティア1サプライヤ、半導体メーカーの役員、大学/研究機関などの教授らが参加している。

 2015年6月の同会では以下の4つの項目について具体的に詰めていくことを決め、今回はその詳細について発表した。

  1. 自動運転の将来像の共有
  2. 競争領域と協調領域の戦略的な切り分け
  3. 国際基準や国際標準となるルールづくりができる体制の整備
  4. 産学連携の促進

2018年から2030年にかけて実用化させる自動運転システムとは

レベル0 運転支援なし(どのような運転操作の場面でもドライバーに対して運転支援を行うシステムを搭載していない)
操作と監視の主体は人間
レベル1 1種類の運転操作を支援するシステム(横滑り防止装置、自動ブレーキなど)を搭載
操作の主体は人間とシステム。監視の主体は人間。
レベル2 2種類以上の運転操作を支援する高度なシステム(車線維持=ステアリング操作とオートクルーズコントロール=加減速を1つのシステムで同時実現)を搭載
操作の主体はシステム。監視の主体は人間。
レベル3 条件付き自動運転システム(駐車場内や高速道路内など限定された交通条件で可能な自動運転)
操作と監視の主体はシステム。緊急時などはシステムの要請に応じてドライバーが運転する。
レベル4 完全自動運転システム(乗員が行き先を決めるだけで、運転操作を全く行う必要のない自動運転)
操作と監視の主体はシステム。ドライバーがシステムの要請に応じられない場合はシステムが対処する。
表 米国運輸省の国家道路交通安全局(NHTSA)が定義した自動運転システムの自動化レベル

 乗用車と商用車で自動運転の将来像を定めた。まず、早ければ2018年までに高速道路において、ドライバーが責任を負い、常に運転操作に対応できることを前提に加減速や車線変更などレベル2に相当する自動運転を実現する。

 2020年頃からは、自動運転でない一般車両がいない専用駐車場で、レベル4の自動運転によるバレーパーキング(ホテルなどのエントランスでクルマのカギを預けて駐車してもらうサービス。帰りはクルマを建物入り口まで移動しておいてくれる)を実用化する。また、同時期に、先頭車両のみドライバーが運転し、無人運転の車両が後続するトラック向けの隊列走行も製品化する。

バレーパーキングトラックの隊列走行 レベル4の自動運転によるバレーパーキング(左)や無人運転のトラックが後続する隊列走行(右)の実用化に向けたロードマップと取り組みの方針 (クリックして拡大) 出典:国土交通省

 レベル4の自動運転は自動運転専用レーンでの走行を前提に、積極的に検討を進めている。その用途の1つが、自宅と最寄り駅の間など短距離を想定した「ラストワンマイル自動運転」だ。これは、地域性を鑑みて適用地域を選定した上で2020年ごろに移動サービスとして商業運行する目標だ。

ラストワンマイル自動運転のサービス化のロードマップ
ラストワンマイル自動運転のサービス化のロードマップ (クリックして拡大) 出典:国土交通省

 2030年までには、ドライバーが運転以外の作業を行うことができるレベル3の自動運転を実現する可能性があるとしている。さらに先のレベル4の自動運転車と一般車両の混在交通については、海外も含め幅広い関係者の考えを基に将来像を明確化していく。混在交通が可能になった段階で、専用駐車場以外でのバレーパーキングも実用化する。

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