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政府が自動運転開発方針を整理、2020年目標「ラストワンマイル自動運転」とは自動運転技術(2/3 ページ)

国土交通省と経済産業省は、共同で実施している「自動走行ビジネス検討会」で取りまとめた、自動運転技術の競争力強化に向けた産官学の具体的な協調方針を発表した。2018年までに高速道路でレベル2の自動運転を実現し、2020年ごろからバレーパーキングや隊列走行を実用化する。これを目指し、8つの協調領域で産官学が連携する。

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SIPでカバーできない範囲もビジネス重視で協調

 自動運転システムの協調領域の開発は、政府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)がカバーしきれていない範囲も含めて取り組む方針とする。SIPと自動走行ビジネス検討会がそれぞれ定めた協調領域は「主目的が異なる」(国土交通省自動車課)ため、随時連携を取りながら独立して開発を進める。

 自動走行ビジネス検討会が定めた協調領域は、地図/通信/社会受容性/人間工学/機能安全/セキュリティ/認識技術/判断技術の8つ。各分野で取り組み方針を定めた。

8つの協調領域で、事業性をにらみつつ産官学の連携を強化する
8つの協調領域で、事業性をにらみつつ産官学の連携を強化する (クリックして拡大) 出典:国土交通省

 これまでの検討会では、欧米が得意とする協調した取り組みへの危機感の声も上がった。「欧米では大義の下で協調し、戦略的に標準化を進めながらシェアも拡大している。日本にも戦略的な仕組みづくりが必要」「米国に主導されるとコストの高いものを使わざるをえなくなる」「車載ソフトウェアは既に欧州による寡占化が進んでいる。ニーズが顕在してから取り組むのでは遅い」などの意見が述べられた。

 このため、国際的な基準や標準を戦略的に策定する体制づくりも進める。強制規格となる基準は、日本の方針を明確化するため、政府や交通安全環境研究所、自動車メーカー、サプライヤで議論する体制を強化する。任意規格の標準については、ISO/TC22(車両)とISO/TC204(ITS)の関係が複雑になってきたことを踏まえて自動車技術会に自動運転標準化検討会を設置し、横断的な議論を円滑化させる。また、標準化を担う人材や予算などリソースの確保についても引き続き検討を進める。さらに、基準と標準を連携させる戦略的な検討を行う場も設置する。

 欧米と比較して活発でなかった産学連携についても強化する。日本で自動車分野の産学連携が低調なのは「日本の大学は論文発表が第一で、自動車技術の開発で大学を頼る必要性が乏しかったことなどが理由だ。欧米は大学や研究機関が産業側のニーズを理解し、ニーズに応えるための機能拡大を進めている」(自動走行ビジネス検討会)。今後は「“学”にはユーザーの視点を取り入れてもらいたい。省庁間の連携を促す面でも期待したい」(同)としている。

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