半導体不足にも光明が? 問題企業の立て直しを目指すおじさんに頑張ってほしい:組み込み開発 年間ランキング2022(2/2 ページ)
2022年に公開したMONOist組み込み開発フォーラムの記事をランキング形式で振り返る。1位に輝いたのは、2021年も1位になった半導体不足の記事でしたが、問題解消に向けた光明も見えつつあります。
まだまだ続くRTOS列伝、2022年の気になるおじさんはあの国策企業再建へ
ベスト3に入らなかった中から、(編集担当にとって)興味深い記事を紹介しましょう。第10位に入った『RTOS以上組み込みLinux未満、Google第3のOS「Fuchsia」は大輪の花を咲かせる』です。
本記事は、2023年1月公開記事で第30回を迎える長期連載「リアルタイムOS列伝」の第20回となります。筆者の大原雄介氏はエレクトロニクス業界の造詣が深いだけでなく、マイコンなどを使ういわゆるガチ組み込み系についても大変詳しいジャーナリストです。実はリアルタイムOS列伝を企画した当初は、1年くらいでネタは尽きるかと思っていましたが、さすがは大原氏、さまざまなリアルタイムOSの話題を掘り出し続けてもらっており、連載は3年を超え4年目に突入する勢いです。
ここからは、MONOist組み込み開発フォーラム年間ランキング恒例(?)の気になるおじさんシリーズです。
2021年の気になるおじさんはインテル CEOのパット・ゲルシンガー氏と、東芝 取締役会長 代表執行役社長 CEO(当時)の綱川智氏でした。ゲルシンガー氏は巻き返しに向けて現在も意気軒高ですが、綱川氏は東芝の事業分割案を臨時株主総会に諮る直前の2022年3月2日に代表執行役社長 CEOを退任し、後任を島田太郎氏に託しました。その後、事業分割案は否決され、現在は株式非公開化を含めて国内外から出資提案を募っている状況です。結局綱川氏のやってきたことは何だったんだろう……。
さて、気を取り直して2022年の気になるおじさんとして挙げたいのが、ジャパンディスプレイ(JDI) 代表執行役会長 CEOのスコット・キャロン氏です。JDIというと、シャープを除く国内大手電機メーカーの液晶ディスプレイパネル事業を1社に集約する一方で、アップル(Apple)の「iPhone」向けの一本足打法に頼り過ぎ、有機ELディスプレイへの移行によって売上高が急減し大幅な赤字を出してしまったイメージが強いかと思います。官民ファンドによる立ち上げ時の出資、業績悪化後の追加出資なども含めて、エルピーダに並ぶ“日の丸××”の失敗例として取り上げられることも多いでしょう。
さまざまな問題があったJDIですが、最後に救いの手を差し伸べたのが独立系の投資顧問会社であるいちごアセットマネジメントでした。キャロン氏は同社の代表取締役社長であり、JDIへの支援に当たってCEOに就任したのです。
年間ランキングの第7位にも入っている『JDIは「技術立社」へ、ディスプレイ業界のArm目指し世界初と世界一を連打』の会見では、キャロン氏がJDIにまだまだ可能性が残されていることを強く信じていることがうかがえ、そこから来るであろう会見における笑顔は非常に印象的でした。“死に体”ともいえるJDIの再建をぜひとも完遂してほしいですね。
もう1人は、製造マネジメントフォーラムの年間ランキング記事で多数が上位に入ってしまった三菱電機の品質不正問題の中で、個人的に数少ない希望の光を感じさせてもらった同社 常務執行役 CPO(ものづくり担当)、CQO(品質改革推進本部長)の中井良和氏を挙げておきたいと思います。
2021年6月の発覚から1年以上、2022年10月の調査終了の発表までこの問題を追いかけましたが、会見を行うたびにさらなる問題が明るみに出るという繰り返しで「これはもう終わらないんじゃないか」と思わされました。報道陣との質疑応答では、記者側の厳しい質問に対して三菱電機側の回答が歯切れが悪く消化不良のイメージが強かったのですが、2022年5月の会見から参加した中井氏が明確な方向性を示すことで、今後の解決が可能なイメージが少し見えてきたと思えるようになりました。
もちろん三菱電機の品質不正問題は調査が終了しただけであり、その改善についてはまだ端緒についたばかりです。ただ、日産自動車出身で三菱電機のアウトサイダーである中井氏が陣頭指揮をとることで、今後に期待できるのではないかと思っています。
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