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半導体不足はソフトの力で解決!? 2021年の気になるおじさんは再登板のあの人組み込み開発 年間ランキング2021(1/2 ページ)

2021年に公開したMONOist組み込み開発フォーラムの記事をランキング形式で振り返る。1位に輝いたのは、読者の皆さまが関わる事業の進捗に問題を来すであろう、アレが不足する記事でした。

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 毎年この年間ランキング記事の導入部というのは、その1年間における記者の雑感を書き連ねるというのが一般的(?)なスタイルです。2020年はトップバッターとして年間ランキング記事を最初に書いたこともあり、コロナ禍の影響で組み込み業界にニッチながら新たな需要を呼び起こしたことなどを書きました。

 この手の連作記事で最初に書くのは、後のことを考える必要がないので気楽なものです。筆者以降の担当編集は、2020年のトップトピックであったコロナ禍の話を入れつつも、その前に出ている年間ランキング記事とネタが被らないように気を配ったりしたのではないかと思います。

 さて2021年は年間ランキング記事を最後に書くことになったわけですが、ここまで出た4本のうち3本の記事タイトルが半導体を筆頭とするモノ不足関連になりました。

⇒MONOist年間ランキングのバックナンバー

 それほどに読者の皆さまがモノ不足が気になったということなんですが、筆者としては「をい! 俺が年間ランキング記事でモノ不足をネタにしづらいじゃん!」などと思ってしまいました。なぜにこんなことを言っているのかというと……。

 それでは、2021年にMONOist組み込み開発フォーラムで公開した記事のランキング(読まれた回数)ベスト3とトップ10、そして(編集担当が)興味深かった記事を幾つか紹介したいと思います。

1位〜3位を発表!

半導体不足を巡る問題に関する見通し
半導体不足を巡る問題に関する見通し[クリックで拡大] 出所:ガートナー ジャパン

 第1位に輝いたのは、「半導体不足は2022年以降に状況改善か、車載や無線用途が拡大する見通し」でした。そう、組み込み機器を開発する際にもマイコンをはじめとする半導体が必須なわけで、組み込み開発フォーラムでも半導体不足の記事が最も多く読まれました。

 2020年末ごろから車載用途で問題になり始めた半導体不足ですが、現在はほぼ全ての業種で起きています。自動車メーカーやティア1サプライヤーなど規模の大きい製造業が半導体の確保に注力したこともあってか、そのあおりを受けて、現在は大手というよりも中堅〜中小の企業が多い産業機器メーカーにおける半導体が絡む部品や部材の不足が顕著になっています。

 実際にいろいろ取材していると、製品開発は完了しているのにあるICの納期が54週なので量産出荷できない、マイコンの納期が60〜70週になっているなどという話を2021年11〜12月にかけて耳にしています。国内の組み込み機器業界にとって、開発案件がかなり多いであろう産業機器のビジネスが止まってしまうのは大きな問題ですが、かといって即効性のある対策を打ち出せないのがつらいところです。

ROSを活用したロボット
ROSを活用したロボット。デンソーウェーブの「COBOTTA」(左)とアールティの「Foodly」(右)[クリックで拡大] 出所:デンソーウェーブ、アールティ

 そして第2位は「ロボット開発プラットフォーム「ROS」はどのように進化してきたのか」でした。「ROSを使ってロスなくロボット開発」と題した連載記事の前編に当たります。

 MONOistではこれまでにも連載「ROS(Robot Operating System)概論」を掲載するなど、ロボットの開発を容易にするオープンソースソフトウェアであるROSに注目してきました。今回の連載「ROSを使ってロスなくロボット開発」はその延長線上にあり、さらに進化を遂げているROSの解説と併せて、より効率的な開発が可能になるシミュレーターとの連携について紹介しました。

 連載の後編「ROSとフォトリアルなシミュレーター「Isaac Sim」を連携させる」では、NVIDIAのロボットシミュレーション環境「Isaac Sim」との連携を取り上げましたが、2021年10月にはNVIDIAから、よりROSとの連携を深めるためのツール群「Isaac ROS」も登場しています。

 本連載に加えて、IoT(モノのインターネット)とロボティクスをテーマに組み込み機器の開発とクラウドネイティブの関わりを解説する連載「仮想環境を使ったクラウド時代の組み込み開発のススメ」も2021年に公開しました。これらのROSやクラウドネイティブといった先端のソフトウェア技術を取り入れることで、特定のハードウェアに依存しない組み込み機器の開発ができれば、今回のような半導体不足に対しても柔軟に対応できるようになるのかもしれません。

無人決済システムを導入した「KINOKUNIYA Sutto」の店内写真
無人決済システムを導入した「KINOKUNIYA Sutto」の店内写真[クリックで拡大]

 第3位に入ったのは、新年展望記事『日本版の「Amazon Go」は普及するのか、問われるAIカメラの“価値”と“コスト”』でした。

 コロナ禍もあって、AI(人工知能)カメラなどの技術を用いた小売店舗の無人決済システムへの需要は高まりつつあります。コンビニエンスストア大手であるローソンも、自社版のAmazon Goともいえる「Lawson Go」の実証実験を進めていますし、その他にもさまざまな取り組みがありました。利益率が決して高くない小売店舗でも受け入れ可能な“コスト”の低減はもちろん必要ですが、どのような“価値”を生み出すかについてはまだ明確な答えは出ていないのも知れません。

 第4〜10位については、以下のランキング表から記事内容を確認していただければと思います。


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