半導体不足はソフトの力で解決!? 2021年の気になるおじさんは再登板のあの人:組み込み開発 年間ランキング2021(2/2 ページ)
2021年に公開したMONOist組み込み開発フォーラムの記事をランキング形式で振り返る。1位に輝いたのは、読者の皆さまが関わる事業の進捗に問題を来すであろう、アレが不足する記事でした。
MONOist最長連載は第150回へ、気になるおじさんは2022年も踏ん張れ
ベスト3に入らなかった中から、(編集担当にとって)興味深い記事を紹介しましょう。第10位に入った「ソフトウェア技術者のためのバグ百科事典(21)【総まとめ】バグの特定手順を解説」です。
本記事は、MONOistの最長連載となる「山浦恒央の“くみこみ”な話」の「ソフトウェア技術者のためのバグ百科事典シリーズ」の最終回となる総まとめ記事です。山浦氏の連載は2021年12月時点で第148回となっており、2022年2月には第150回を迎える予定です。現在の最新シリーズ「テストでバグ発見!」にもぜひ注目していただければと思います。
ここからは、MONOist年間ランキング恒例(?)の気になるおじさんシリーズです。
2020年の気になるおじさんに選定させていただいたAWS CEOのアンディ・ジャシー氏は、なんと! ジェフ・ベゾス氏の後継としてアマゾン(Amazon.com)本社のCEOに選ばれました。毎年、記事を書いてる時の気分で適当に選んでる気になるおじさんですが、自身の無意識のなせる洞察力にちょっと未来を見通した気分になってしまいますね。
では、2021年の気になるおじさんでまず挙げておきたいのは、インテルの新CEO、パット・ゲルシンガー氏です。2021年3月のグローバルWebキャストに登壇して、新たなビジネスモデル「IDM 2.0」のビジョンについて説明したのですが「何だろう、Webキャストにもかかわらず感じるこのカリスマ感は」というのが第一印象でした。60歳という年齢は、決して若くないのですが、少年のような目のキラキラ感や笑顔が半端ない。
それまでは半導体業界の中で、AMDやArm、NVIDIAなどに押し込まれている感もあったインテルですが、新CEOの就任からIDM 2.0という新たなビジネスモデルへの転換、新製造プロセスによる次世代製品の投入などを進めており、ビッグカムバックが始まりそうな予感がします。今後もゲルシンガー氏は要注目の人物といえるでしょう。
と、2021年前半の時点ではもはやゲルシンガー氏がぶっちぎりの気になるおじさんだったわけですが、年後半に入ると別の意味で気になってしょうがない方が出てきました。東芝 取締役会長 代表執行役社長 CEOの綱川智氏です。
2021年の東芝といえば、本業よりもその経営体制の混迷が大きな話題になってしまいました。2021年4月、代表執行役社長 CEOの車谷暢昭氏が電撃辞任し、代わって取締役 会長を務める綱川智氏が新たな代表執行役社長 CEOに就任すると発表したのです。
綱川氏は、2015年に発覚した不正会計問題に端を発する経営危機を乗り切るため社長に就任しましたが、再生に向けた道筋が付いた2018年4月に経営トップから退いており、2020年4月には執行役を辞して取締役 会長になっていました。車谷氏の辞任が決まる直前までは、取締役 会長として業界活動に積極的に関わっていく予定であり、まさか再び経営トップに戻ることになるとは思っていなかったでしょう。
実際に、2021年5月には「量子技術による新産業創出協議会」の設立に向けた発起人会の会長に選ばれ、同年6月にはJEITA(電子情報技術産業協会)の代表理事 会長への就任も発表しています。これに加えて、東芝では暫定ながら取締役会議長を兼任することになりました。
綱川氏は67歳で、例えば現総理大臣の岸田文雄氏が64歳、先に挙げたゲルシンガー氏が60歳ですから、そこまで高齢というわけではありません。とはいえ、東芝が迎えている逆境は大変厳しいものがあるわけで、2021年4月からの8カ月間は極めて大変な毎日を過ごしたのではないかと思います。
とにもかくにも、「量子技術による新産業創出協議会」は2021年9月に正式に発足したことで、設立発起人会会長としての重責は果たしました。そして同年11月には、東芝の3社分割案を発表。「東芝解体」という厳しい報道もありますが、限られた選択肢の中で最善であろう施策をまとめ上げました。2021年12月17日のJEITAの年末会見で、報道陣から「2021年はいろいろ大変だったと思うが、2022年はどういう年にしたいか?」と聞かれた際には「2021年もいろいろなことがある良い年だった。2022年も良い年にしたい」と、苦笑気味の笑顔で答えていたのが印象的でした。
というわけで、今回は綱川氏を気になるおじさんとして挙げさせていただきます。2022年も東芝はまだ気の抜けない状況でしょうから、引き続き踏ん張ってください!
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