モノ不足が響くパナソニック、価格引き上げなどで第2四半期以降は回復見込む:製造マネジメントニュース
パナソニック ホールディングスは2022年7月28日、2023年3月期(2022年度)第1四半期の業績を発表。車載電池などの販売増に加え、ブルーヨンダーの連結化や為替効果により増収となったものの、原材料価格の高騰や上海ロックダウンの影響を受け前年同期比で減益となった。
パナソニック ホールディングスは2022年7月28日、2023年3月期(2022年度)第1四半期の業績を発表。車載電池などの販売増に加え、ブルーヨンダーの連結化や為替効果により増収となったものの、原材料価格の高騰や上海ロックダウンの影響を受け前年同期比で減益となった。
原材料価格高騰や上海ロックダウンの影響で減益
パナソニック ホールディングスの2022年度第1四半期の業績は売上高が前年度比10%増の1兆9739億円、調整後営業利益が同45%減の657億円、営業利益が同39%減の637億円、税引き前利益が同32%減の735億円、当期純利益が同36%減の489億円となった。
セグメント別で見ると、くらし分野は国内家電の販売が減少した一方で、空質空調設備の欧州向け事業やインドや中東アジア地域の海外電材事業などでカバーし前年並みの売上高を確保した。ただ、中国で生産する家電製品なども多いことから上海ロックダウンの影響を強く受け減益となっている。オートモーティブ分野は、半導体不足による自動車生産減少の影響があり、減収減益となった。
コネクト分野は航空市場の回復によるアビオニクス事業の増販とブルーヨンダーの連結化による増収があったものの、ノートPCや現場ソリューションの販売減少やブルーヨンダー買収に伴う無形資産償却などにより減益となった。インダストリー分野は半導体不足や上海ロックダウンの影響などにより減収減益となった。エナジー分野については旺盛なEV(電気自動車)需要による車載電池の販売拡大により増収となったものの、原材料高騰や物流費の増加などにより減益となった。全セグメントで減益となり、外部環境により厳しい結果となっている。
6月以降は状況は徐々に好転
パナソニック ホールディングス 代表取締役 副社長執行役員 グループCFOの梅田博和氏は「四半期別の売上高と調整後営業利益を見てみると、半導体不足や部材高騰の影響が強く現れ始めた2021年度第2四半期から明らかに利益水準が下がりフェーズが変わったことが分かる。さらに2021年度第4四半期以降は上海ロックダウンの影響も強く受け、厳しい状況が続いた。ただ、これらに対応するためにオペレーション強化を進めた他、インダストリー分野やくらし分野などをはじめ価格改定を推進したこと、さらにロックダウンが解除されたことから、6月以降は正常化が進んでいる。第2四半期以降はさらにマイナスの影響は緩む見込みだ」と述べている。
こうした状況も踏まえ、2022年度の通期業績見通しは前回発表時から変更なく、売上高7兆9000億円、調整後営業利益3800億円、営業利益3600億円、税引き前利益3600億円、当期純利益2600億円のまま据え置いている。ただ、半導体や部材不足、原材料高騰の影響は第2四半期以降も残る見込みだ。「基本的には厳しい状況は続く。代替品調達や価格改定などの対策は引き続き進めていく。ただ、高止まりが続いていた銅やアルミニウムも徐々に落ち着きを見せてきた。引き続き経営としては厳しい見通しを前提に組み立てていくが、第1四半期と比べると徐々に状況は好転してくるだろう」と梅田氏は見通しを示す。
価格改定は丁寧なコミュニケーションで
価格改定への動きでは2022年7月20日に家電製品についての新スキームを発表し、2022年8月から3〜23%の価格引き上げを行うことを示したが「第1四半期では原材料高騰によるマイナス影響が450億円あり、その内価格改定により230億円程度を相殺した形となる。ただ、これはインダストリー分野を中心に行ったものでくらし分野は対応が遅れていた。くらし分野の新スキームは第2四半期以降に効果を発揮する。適正価格で安定させながら顧客に役立つところに必要なリソースを回すことを目指す。このサイクルができてはじめて意味が出てくる。そのためには丁寧なコミュニケーションにより理解を醸成していくしかない」と梅田氏は述べている。
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