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日系乗用車メーカーの世界生産が8カ月ぶりに前年超え、本格回復はまだ遠い自動車メーカー生産動向(2/2 ページ)

日系乗用車メーカーが発表した2022年2月の生産台数では前年実績を上回る結果となったが、前年2月が半導体不足の本格化や福島沖地震の発生などにより低水準だったことが要因だ。

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日産自動車

 トヨタ、ホンダに比べて半導体不足が響いているのが日産自動車だ。2月のグローバル生産は、前年同月比7.8%減の27万5437台と8カ月連続で前年実績を下回った。減少幅は1月より11.7ポイント改善しているが、4番手のスズキとの差は655台まで縮まった。国内生産は、同11.4%減の4万9203台と6カ月連続のマイナスだった。減少幅は1月より13.9ポイント改善したが、2桁パーセント減と厳しい。このため輸出も同44.9%減と大きく減少している。

 海外生産は前年同月比7.0%減の22万6234台と8カ月連続の減少。ただ、減少幅は1月から11.5ポイント改善した。地域別では、メキシコが同16.2%減、英国が同31.2%減と大きく下落した。一方、最大市場の中国は同16.6%増と伸長し、11カ月ぶりにプラスへ転じた。「パスファインダー」「フロンティア」がけん引した米国も同18.0%増と大きな伸びを見せた。

スズキ

 スズキの2月のグローバル生産は、前年同月比1.4%増の27万4782台と7カ月ぶりにプラスへ転じた。海外生産は、グローバル生産の半数以上を担うインドが同0.9%増と2カ月連続で増加するとともに、2月として過去最高を更新。その結果、海外トータルも同0.3%増の19万6331台と2カ月連続のプラスとなった。

 国内生産は、前年同月比4.2%増の7万8451台と9カ月ぶりのプラス。半導体をはじめとした部品の供給不足は依然として続いているが、1月のような操業停止が相次ぐ状況には至らなかった。また、前年2月が半導体不足と福島沖地震による部品供給難で低迷したこともプラス要因となった。

ダイハツ工業

 ダイハツ工業の2月のグローバル生産台数は、前年同月比10.2%増の14万9371台と4カ月連続で増加し、2月として過去最高の台数を記録した。特に好調なのが海外生産で、同23.1%増の6万1312台と7カ月連続のプラス。2月として過去最高で、8社の中で最大の増加幅となった。このうちインドネシアは同27.1%増で、前年のロックダウンによる低迷に対する反動増が続いている他、新型車効果も後押しした。マレーシアも同16.0%増と好調で、インドネシア同様に新型車が貢献している。

 国内生産は、前年同月比2.8%増の8万8059台と2カ月ぶりのプラスで、2月の過去最高を更新した。トヨタ向けにOEM(相手先ブランドによる生産)供給する「ルーミー」の販売好調など、登録車が同10.5%増と伸長した。

三菱自動車

 三菱自動車の2月のグローバル生産台数は、前年同月比1.8%増の9万332台と2カ月ぶりに増加した。海外生産が好調で、同20.3%増の4万8658台と12カ月連続のプラス。主力拠点のタイが同0.2%減と前年並みを維持した他、「パジェロスポーツ」や「エクスパンダ―」が好調なインドネシアが同65.5%増と高い伸びを示した。中国も台数は少ないながら同129.0%増と伸長した。

 ただ、国内生産は、主力モデルの「eKスペース」および日産向けにOEM供給する「ルークス」のエアバッグ不具合の影響が出ている。2月11日に生産を再開したものの、2月の国内生産は前年同月比13.7%減の4万1674台と3カ月連続で減少した。新型「アウトランダー」は国内外で受注が好調だが、eKスペースの落ち込みをカバーするには至らなかった。

マツダ

 低調なのがマツダだ。2月のグローバル生産台数は、前年同月比9.8%減の8万6615台と8カ月連続で減少した。減少幅も1月に比べて3.7ポイント悪化し、8社の順位でも三菱自を下回り7位となった。

 主力の国内生産が同16.7%減の6万481台と8カ月連続のマイナスだった。減少幅も1月から14.7ポイント悪化した。北米の寒波で部品供給に支障をきたし、広島工場と防府工場で2日間の稼働停止を余儀なくされたことが大きい。車種別ではマイナーチェンジした「CX-5」は同12.3%増と伸長したが、「マツダ3」は同14.0%減と振るわなかった。

 一方、海外生産は、前年同月比11.7%増の2万6134台と、10カ月ぶりにプラスへ転じた。これはメキシコが前年2月に寒波の影響で4日間操業を停止した反動で、同32.1%増と大幅に伸長して2カ月連続のプラスだった。さらに1月から新たに米国工場の操業を開始。新型車「CX-50」が純増となり、北米トータルでは同36.4%増となった。中国も同1.0%増と3カ月ぶりのプラス。一方タイはピックアップトラック「BT-50」の生産終了の影響などで同12.3%減にとどまった。

スバル

 8社の中で最も厳しい状況となったのがSUBARU(スバル)だ。2月のグローバル生産台数は、前年同月比23.6%減の4万7625台と2カ月ぶりに前年実績を下回った。グローバル生産が2桁パーセント減だったのはスバルのみで、国内・海外ともに8社で最も大きな落ち込みを見せた。

 このうち国内生産は、前年同月比29.9%減の2万6715台と2カ月ぶりにマイナスへ転じた。半導体不足に加えて、オミクロン株の感染で仕入れ先からの部品調達に支障をきたし、6日間の稼働停止を実施した。唯一の海外拠点である米国生産も同13.7%減の2万910台と3カ月連続のマイナス。受注は好調だが、国内同様に半導体など部品の供給不足の影響が大きく、車両供給が足りない状況が続いている。

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