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日系乗用車メーカーの世界生産が8カ月ぶりに前年超え、本格回復はまだ遠い自動車メーカー生産動向(1/2 ページ)

日系乗用車メーカーが発表した2022年2月の生産台数では前年実績を上回る結果となったが、前年2月が半導体不足の本格化や福島沖地震の発生などにより低水準だったことが要因だ。

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 サプライチェーンの混乱が依然として続いている。日系乗用車メーカーが発表した2022年2月の生産台数では前年実績を上回る結果となったが、前年2月が半導体不足の本格化や福島沖地震の発生などにより低水準だったことが要因だ。

 自動車メーカー各社は挽回生産を加速させたいものの、オミクロン株の感染拡大や、長引く半導体不足などが水を差す。さらにロシアのウクライナ侵攻、自然災害や中国・上海のロックダウンによるサプライチェーンの混乱など、自動車生産を取り巻く事業環境に明るい兆しは見えていない。新車納期の長期化など、旺盛な需要に対して車両供給できない状況の解消には、まだしばらく時間を要しそうだ。

 日系乗用車メーカー8社合計の2022年2月のグローバル生産台数は、前年同月比3.6%増の200万9870台と8カ月ぶりに前年実績を上回った。オミクロン株の感染拡大による生産ラインの停止などが一段落したことも要因だが、前年2月の実績が低水準というのが実情で、本格回復というには程遠いと言わざるを得ない。国内、海外ともに2022年1月に比べてプラス基調を示しており、海外生産は同6.4%増と8カ月ぶりのプラス。一方、半導体不足や部品調達難の影響が大きい国内生産は、同1.6%減と7カ月連続のマイナスとなった。

2022年2月の国内乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 253,258 487,738 135,297 140,378 740,996
3.8 15.0 ▲ 4.9 56.9 10.9
ホンダ 58,354 286,358 109,765 126,871 344,712
23.7 5.4 ▲ 9.5 39.7 8.1
日産 49,203 226,234 86,313 88,124 275,437
▲ 11.4 ▲ 7.0 ▲ 1.3 16.6 ▲ 7.8
スズキ 78,451 196,331 - - 274,782
4.2 0.3 - - 1.4
ダイハツ 88,059 61,312 - - 149,371
2.8 23.1 - - 10.2
三菱自 41,674 48,658 - 3,073 90,332
▲ 13.7 20.3 - 129.0 1.8
マツダ 60,481 26,134 12,685 8,283 86,615
▲ 16.7 11.7 36.4 1.0 ▲ 9.8
スバル 26,715 20,910 20,910 - 47,625
▲ 29.9 ▲ 13.7 ▲ 13.7 - ▲ 23.6
合計 656,195 1,353,675 364,970 366,729 2,009,870
▲ 1.6 6.4 ▲ 5.1 38.2 3.6
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、%
※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計

トヨタ自動車

 メーカー別に見ると、トヨタ自動車の2月のグローバル生産台数は、前年同月比10.9%増の74万996台と2カ月ぶりに前年実績を上回った。増加幅としては8社で最大となった。けん引したのが海外生産で、同15.0%増の48万7738台と2カ月ぶりのプラスで、2月の海外生産として過去最高を更新した。

 地域別で好調なのがアジアで、インドとパキスタンを除き前年比プラスを確保。中でも中国は、半導体不足の影響は続いているものの、1月の感染拡大による稼働停止で余剰ができた半導体を2月に活用することで同56.9%増と大幅な増産を実現した。また、アジア全般で前年2月の実績が低調だったこともあり、インドネシアが同54.7%増、タイが同33.4%増、マレーシアが同13.1%増と主要国がそろって高い伸びを示した。その結果、アジアトータルは同40.9%増の大幅増となった。

 伸び悩んだのが主力市場の北米で、前年同月比4.9%減と8カ月連続で前年実績を下回った。部品供給の逼迫(ひっぱく)が響いた。ただ、メキシコは同41.0%増と好調を維持している。欧州も北米同様に部品供給の影響が広がっており、同16.7%減と低迷した。

 オオミクロン株の感染拡大により1月は急ブレーキがかかった国内生産は、前年同月比3.8%増の25万3258台と2カ月ぶりにプラスへ転じた。半導体不足の影響が長期化しているものの、2021年2月13日に発生した福島沖地震でサスペンション部品を供給する日立アステモの福島工場が被災した影響で稼働停止を余儀なくされたことへの反動増が表れた。

ホンダ

 ホンダの2月のグローバル生産台数は、前年同月比8.1%増の34万4712台と2カ月連続のプラス。中でも国内生産が高い伸びを示し、同23.7%増の5万8354台と4カ月連続で増加。8社で最大の伸び率だった。ただ、これは半導体不足の影響が大きかった前年2月の反動増という側面が強い。さらにオミクロン株の感染拡大で生産に必要な人員が確保できなかった米国向けの部品を国内へ展開したことも大幅増につながった。

 海外生産は、前年同月比5.4%増の28万6358台と2カ月連続で増加した。中国が同39.7%増と大幅増を記録し、2カ月連続でプラスを確保するとともに2月として過去最高を更新した。国内生産同様に米国向けの部品を展開したことが高い伸びに貢献した。その結果、アジアトータルでも同27.0%増と2カ月連続のプラスで、2月の過去最高を記録。一方、北米は同9.5%減と9カ月連続のマイナスだった。ただ、減少幅は1月より1.8ポイント改善している。

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