2022年は国産ドローン元年となるか、目視外飛行可能なレベル4に向け急発進:MONOist 2022年展望(3/3 ページ)
2020年9月の政府調達方針の変更を受け、2021年は国産ドローンの市場投入に向けたさまざまな活動が活発に展開された。年度内にドローンの目視外飛行可能なレベル4の法整備も行われる予定の2022年は、国産ドローン元年となるのだろうか。
有人地帯で目視外飛行を行うレベル4へ
このように、2021年は国産ドローンの市場投入に向けたさまざまな取り組みが一気に進展した1年となった。DJIの圧倒的な市場支配力の前に、国内ドローンメーカーは厳しい状況にはあったものの、それまでに積み重ねてきた技術を生かす絶好の機会に応えたと言っていいだろう。
今後、国産ドローンが目指すのは、2022年度内の法整備が予定されているドローンの「レベル4」への対応になる。国土交通省では、ドローンの飛行形態を、目視内で操縦飛行するレベル1、目視内で自動/自律飛行するレベル2、無人地帯で目視外飛行を行うレベル3、そして都市を含めた有人地帯で目視外飛行を行うレベル4に分けている。レベル3とレベル4は、目視外である以上、自動/自律飛行を実現する必要がある上に、飛行ルートにおける何らかの障害物との衝突回避機能や、長距離を飛行できるだけの航続性能なども求められる。そして、先述のドローン市場予測のようにサービスが大きく拡大するには、ドローンの機体がレベル4に対応することは必要条件になるだろう。
衝突回避機能の開発では、日本無線、日本アビオニクス、ACSL、マゼランシステムズジャパンが2021年10月に、相対速度時速200kmでの自律的な衝突回避に成功したこと発表している。
航続距離についても、エンジンとモーターを併用するハイブリッドシステムが、エアロジーラボや愛三工業、ヤマハ発動機などから提案されており、ドローンワークスは高圧水素容器システムを搭載した水素燃料電池ドローンの飛行実験を行うなどして可能性を模索している。
ただし、これら国産ドローンに対する期待の一方で、依然としてグローバル市場で高いシェアを持つDJIなど中国製ドローンへの価格競争力をどのように発揮できるのかが大きな課題になる。政府調達に関わる一定の規制によって国内市場を確立できたとしても、より大きなグローバル市場で採用を広げられなければ、携帯電話機と同様に“ガラパゴス”批判を免れることはできない。ACSLのSOTENは海外展開も想定しているが、特徴とする安全安心を実現する機能の価値を、価格としてどこまで訴求できるかが問われるだろう。
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