ソニーのドローン「Airpeak S1」が構成パーツを披露、ステレオカメラ5台搭載:Japan Drone
ソニーグループは、「Japan Drone 2021」において、2021年9月発売予定の業務用ドローン「Airpeak S1」を披露した。国産ドローンとしてハードウェアを独自開発しており、高い運動性能や耐風性能、高度な制御システムに加え、小さな機体サイズにフルサイズミラーレス一眼カメラ「α」が搭載可能であり、プロ映像制作向けに展開する方針だ。
ソニーグループは、「Japan Drone 2021」(2021年6月14〜16日、幕張メッセ)において、同年9月発売予定の業務用ドローン「Airpeak S1」を披露した。国産ドローンとしてハードウェアを独自開発しており、高い運動性能や耐風性能、高度な制御システムに加え、小さな機体サイズにフルサイズミラーレス一眼カメラ「α」が搭載可能であり、プロフェッショナル映像制作向けに展開する方針だ。
Airpeak S1は、同社で自律型エンターテインメントロボット「aibo」や自動運転車「VISION-S」を手掛けるAIロボティクス事業の第3弾製品となる。最高速度で時速90km、最大角速度で毎秒180度、最大傾斜角度で55度を実現するとともに、独自開発のキーデバイスを組み合わせた推進デバイスと飛行制御で最大毎秒20mの耐風性能を有しており、強風下でも安定飛行を行える。
これらの性能に貢献しているのが、独自開発した軽量かつ高効率、高強度、高応答性の17インチプロペラやブラシレスモーター、最適な制御を行うESC(Electric Speed Controller)だ。また、センサーとしては、ソニー製イメージセンサーによるステレオカメラを機体5方向(前後左右下)に配置する他、IMU(Inertial Measurement Unit)による慣性計測、コンパスや気圧の測定、赤外線測距なども行っている。これらのセンサー情報を統合することで、自己位置や姿勢を高精度に推定して周囲の空間をリアルタイムに認識し、屋内や橋梁下などGNSS信号を受信しづらい条件下でも安定した飛行が可能になったという。
展示では、Airpeak S1のシステムを構成する各種パーツや基板などを展示した。
Airpeak S1のシステムは、センシングデバイス、ビジョンセンシングプロセッサ、アプリケーションプロセッサとなるクアルコムの「Snapdragon 845」、アクチュエーター、フライトコントローラーなどから構成されている。他社ドローンとの大きな差別化ポイントになっているのが、センシングデバイスとなる5台のステレオカメラと、それらのカメラ情報を同時に高速処理する独自アルゴリズムを組み込んだ自社製ビジョンセンシングプロセッサだ。
Snapdragon 845は、ビジョンセンシングプロセッサやフライトコントローラーと連携しながら、通信やαなどのデジタルカメラを搭載するジンバルの制御を行う。17インチプロペラやブラシレスモーター、ESCも独自に開発したという。
今後の事業展開を広げていく上では、独自開発した高機能な機体性能を、さまざまな分野で生かすためのソフトウェアが重要になる。「将来的には産業用途への展開も見据えている。そのために重視しているのがパートナーとの連携だ。まずは、プロフェッショナル映像制作でしっかり実績を積み上げていきたい」(営業を担当するソニーマーケティングの説明員)という。
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