アスクルが日野とEVトラックで実証実験、EVに合わせて業務を変える可能性も:電気自動車(2/2 ページ)
アスクル、日野自動車と関西電力の共同出資会社CUBE-LINX、日野自動車の3社は2022年1月19日、小型トラックタイプのEV(電気自動車)を用いて運行管理とエネルギー利用を最適化するマネジメントの実証実験を開始したと発表した。
また、東氏は「車両コストは重要な基準であり、低コストなEVにも注目しているが、配送現場における日々のオペレーションにEVをどのように組み込むかが大切だ。これまで、まずは使ってみるということを重視してEVを導入してきた。EVは従来の車両よりも価格が高いが、経験や研究のための費用だと考えている。走行距離にもまだ課題があるが、現状ではクルマに合わせたオペレーションを作りながら、経験を積んでいくことが重要だとみている」と物流事業者から見たEVの位置付けについて述べた。
EVへの期待については、「カーボンニュートラルという狙いはもちろんあるが、現場としては現在の主力であるキャラバンとどれだけ同じように業務で使えるかどうか、オペレーションとして経験できることに期待している。デュトロ Z EVの特徴である、荷室への行き来がラクになるウォークスルー構造や、立ったまま荷室で作業できる低床がドライバーにメリットとして受け止められるか。従来と異なる構造のクルマを使う中で、負荷となる経験も得られるだろう。しかし、これで働き方が改善できるのであれば、クルマに合わせて荷物の積み方などを改めて考える機会にもなるかもしれない。ポジティブに考えている」(東氏)という。
車両から電力マネジメントまで
CUBE-LINXでは、「最適稼働マネジメントサービス」の他、電動車と付帯設備の導入コンサルティング、車両と充電設備、ITシステムの一括提供など、電動車の導入と運用に関するソリューションをトータルで手掛ける。アスクルの東氏は「電力マネジメントは非常に難しいところがある。専門の部隊が社内にあるわけでもない。車両を含めてパッケージで見てもらうことで、経験が得られると期待している」とコメントした。
日野自動車とCUBE-LINXは、物流事業者の事業形態や車両の使い方に合わせて、稼働とエネルギー利用の最適なソリューションをパッケージ化し、月額定額制サービスとしてワンストップで提供する。運航計画系システムと、エネルギーマネジメントシステムを融合し、最適な充電や配車の計画、電池残量を考慮した走行ルートや、充電量の予測、充電計画などの生成を可能にする。運行管理や建物のエネルギーマネジメントシステムなどは自前のものを一括して納入することにこだわらず、他社のシステムと連携する。今後は、事業所と車両の電力消費をトータルで最適化するマネジメントを目指す。
アスクルは物流事業者でEV導入が進む条件について、1回の充電での走行距離などに安心感があること、充電設備の導入や利用、電力マネジメントなどが簡易であること、さまざまな車両の選択肢があることを挙げた。
関連記事
- 宅配物流に「使えるEV」、日野が2022年初夏に超低床FF小型電動トラックを発売
日野自動車は2021年4月15日、超低床で前輪駆動(FF)の小型EVトラック「デュトロZ EV」を2022年初夏に発売すると発表した。荷物を家庭など受取先に届ける「物流のラストワンマイル」に向けた車両だ。物流現場における使い勝手とカーボンフリーを高次元で両立する。日野自動車 社長の下義生氏は「宅配物流に焦点を当て、ユーザーの意見を聞きながら完成させた。自信を持って提案できる“使えるEVトラック”だ」とコメントしている。 - ごみ焼却で発電してごみ収集EVが走る、バッテリーは交換式
JFEエンジニアリングと日立造船、日鉄エンジニアリング、明電舎は2021年12月15日、ごみ収集車のEV化と電池交換ステーションの普及を目指す「EVパッカー及び電池交換ステーション普及協議会」を設立したと発表した。 - ローソンとファミマが燃料電池トラック導入、トヨタいすゞ日野が車両開発
ローソンとファミリーマートは2021年8月10日、小型トラックタイプの燃料電池車(FCV)による走行実証を開始すると発表した。 - スズキダイハツは脱炭素時代も「ゲタを極める」、大型車と軽の商用車連合で
スズキとダイハツ工業、トヨタ自動車は2021年7月21日、オンラインで会見を開き、軽商用車のカーボンニュートラルに向けてコネクテッド技術や電動化技術などを協力して普及させると発表した。 - EVスタートアップのREEが日立と戦略的協業に合意、商用車の電動化を加速
日立製作所の米国法人Hitachi Americaと、REE Automotiveは2021年12月15日、EV(電気自動車)の導入促進に向けて戦略的協業に合意したと発表した。EVの製造や商用車向けの充電インフラ、エネルギー管理、EV向けのデジタルフリートマネジメントなど、バリューチェーン全体で協力する。 - 構内物流をAGVではなく自動運転車に、ヤマハ発動機とティアフォーが成果を外販
ヤマハ発動機とティアフォーの共同出資会社eve autonomy(イヴオートノミー)は2021年9月1日、工場や物流拠点などの構内向け自動運転車「eve auto」の先行受注を開始したと発表した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.